暴れ馬に乗る羽目になり、振り落とされたことも…「八州犯科帳」の左近、素顔とのギャップが面白い(夕刊フジ)

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 【今こそ見たい緒形拳の世界】  1970年代前半、必殺シリーズと『木枯し紋次郎』(フジテレビ系)の2大人気時代劇が土曜の夜に激突したことはよく知られているが、必殺シリーズの第1弾『必殺仕掛人』の主演コンビ、緒形拳と林与一が、フジの同枠で主演して注目されたのが「紋次郎」と同じ笹沢佐保原作の『八州犯科帳』である。 【写真】「座頭市」の製作発表で勝監督の断髪式をする緒形拳ら  冒頭、わらべ歌のような主題歌が流れ、地蔵が立つさびしい山道に「八州さま~」と子供の声が響く。民から「八州様」「八州廻り」と呼ばれる小山田左近(緒形)と浅野新兵衛(林)は関八州(上野、下野、常陸、上総、下総、相模、安房、武蔵)の犯罪の取り締まりを担当する関東取締出役。この地は天領、大名領、寺社領が入り組み、無宿人やあぶれ者が流れ込む危険地帯だ。  下級の身分で、手当ても少ない出張続きの八州廻りの大変さ、悲哀はかなりリアル。その中で、世慣れた左近は宿場の居酒屋で酒を飲み、女子供を助ける。緒形は悪人相手に本格的な殺陣を見せた。  「涙を棄てた女」「忘れな草に泣く女」などタイトルに「女」がついているのも特徴のひとつ。ゲストは佐藤友美、吉行和子、真屋順子、中村敦夫など多彩だが、みどころは緒形が修業した劇団「新国劇」の看板、辰巳柳太郎が出演した第4話「小舟に掉さす女」。  復讐(ふくしゅう)を誓い、悪人を執拗(しつよう)に追う老渡世人(辰巳)を左近は止める立場だが、辰巳は相手をぎろりとにらむだけで、すごい迫力。さすがの緒形も恩師の貫禄にリアルに圧倒された感じだ。  当時は東京で時代劇が制作されることも多く、このドラマは、生田スタジオを中心に撮影された。近郊の青梅、多摩、柿生辺りにもしばしばロケ出張。馬で走るシーンも多かったが、どの馬に乗るかは朝来た順番に自分で決められるので、来るのが遅れると緒形は暴れ馬に乗る羽目になり、振り落とされたこともあったらしい。なお、八州廻りのお供として馬を追いかけて走っていたのは、『笑点』の座布団運びで知られる松崎真と「自由劇場」で活躍する串田和美であった。  やさぐれてはいるが人間味のある左近と堅物で融通が利かない新兵衛。このキャラ分けは「仕掛人」と共通するところだが、素顔の緒形は堅物で撮影後はきちんと家に帰るタイプ。役のイメージとのギャップが面白い。(時代劇コラ

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(2020/10/29)