吉田鋼太郎が考える、シェイクスピアの魅力。(Pen Online)

【リンク先抜粋】
舞台役者として名を馳せ、映像に本格進出した50代からは、映画やドラマに引く手あまたの吉田鋼太郎。自らを“活字中毒”と呼ぶほどの本好きだ。 【インタビューの続き】人生に必要なのは、心に響く本。 「部屋でもトイレでもお風呂でも、ずっと本を読んでるんですよ。高校時代に好きだったのは、庄司薫さんの『赤頭巾ちゃん気をつけて』などの四部作。その後、檀一雄さんの『火宅の人』にも影響を受けましたね。あんな世界に影響されちゃいけないのに(笑)。最近は、エッセイばかりです。特にはまっているのは、武田百合子さんの『富士日記』。夫の泰淳さんと富士山の別荘に行った時に、犬を連れていって死んじゃうくだりがあるんですけど、何回読んでも感動できる。天才ですね」 そんな本好きの吉田を45年にわたり惹きつけ続けているのが、ウィリアム・シェイクスピアだ。シェイクスピアは、エリザベス女王が大英帝国の礎を築いた1564年に誕生。18歳で結婚するが、20歳を越えて失踪。謎の多い空白期間を経て、ロンドンに詩人として現れたのは29歳の時だ。以降、劇作家として頭角を現し、およそ20年で37本の戯曲を残した。『マクベス』『ロミオとジュリエット』『十二夜』など、代表作はいまも世界中で上演されている。 「シェイクスピアと同時代を生きたライバルに、クリストファー・マーロウとベン・ジョンソンという劇作家がいて。3人とも同じような題材を扱っていて、物語も似ているんですよ。たとえば、マーロウの『マルタ島のユダヤ人』とシェイクスピアの『ヴェニスの商人』は、どちらも極悪な高利貸しを描いている。でも、シェイクスピアの作品は明らかに違うんです。マーロウもジョンソンもひとつの筋だけで押していきますけど、シェイクスピアはふたつの筋を並行させたりして多層的。しかも信頼、裏切り、再生などいくつものテーマをきっちり描いている。その文筆の才たるや。3人の戯曲を読み比べると、シェイクスピアが後世に残った理由がわかる気がします」 過去の出演舞台について「約8割がシェイクスピアです。全37本中、やってないのは3本だけ」と吉田。シェイクスピアとの出合いは45年前、吉田が16歳の時にまで遡る。 ※Pen2020年11月1日号「人生に必要なのは、心に響く本。」から転載

続きはこちら

(2020/10/26)