米大統領選とメディア その1 今回の選挙の異端な点とは(Japan In-depth)

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私もアメリカの首都ワシントンに本来の拠点をおくジャーナリストとしてこの選挙戦の報道や評論にあたっている。もっとも、いまは新型コロナウイルスのアメリカでの大感染のために東京に戻ったまま、インターネットを通じての遠隔の取材となっているが、アメリカにいても現状では方法は同じとなるだろう。 私はアメリカ大統領選挙の取材はじつに長い年月、回数も多く、手がけてきた。 なにしろ毎日新聞のワシントン駐在の特派員として初めて赴任したのは1976年秋だった。その年もちょうど大統領選挙が実施されていた。共和党の現職のジェラルド・フォード大統領と民主党の挑戦者のジミー・カーター候補の戦いだった。 この選挙キャンペーンの報道にも私は新任記者として先輩特派員の後に従って、かかわった。だが本格的な大統領選の取材は次回の4年後、1980年からだった。 それでも40年も前だから、ずいぶんと昔のことである。それ以降、私のワシントン駐在は現在にまでいたるが、ただしその間に東京に4年間、ロンドンに2年、北京に2年と、それぞれ滞在してきた。 そのうえに1987年には毎日新聞を退社して、産経新聞の記者となった。そしてまたワシントンでの報道活動を長い年月、続けることとなった。 しかし2013年にはその産経新聞でもフルタイムの社員から退社の形で客員特派員となった。だが取材の主対象のアメリカ、そしてその首都ワシントンは変わらない。そのワシントンでの報道活動では4年に1度の大統領選挙は主要行事となるわけである。 だから私はアメリカ大統領選挙は通算して10回近くも直接に報道してきたことになるが、その長い体験でもこの2020年の選挙戦はきわめて異色である。 まず第一の特徴はコロナウイルスの大感染である。 アメリカは9月の時点でも全世界最多の感染者600万人、死者18万を出した。国家や社会の機能はずたずたになった。そんななかでの全米での選挙活動や投票となると、障害があまりに多くなる。投票の方法さえも、通常の投票所を使うか、それとも郵便に頼るかで両候補の意見が対立した。 第二には、選挙キャンペーンに中国という要因が大きく浮かびあがったことである。 どの選挙でも主要争点というのはあるが、ほとんどは国内問題となる。だが今回はアメリカ全体にとっての中国という存在が多様な課題を生んで、大統領選でも対中政策をどう

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(2020/10/18)