AKB48「鈴懸-」人気と現代の“曲の価値” 商業的には下がっても需要は減らず(夕刊フジ)

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 【織田哲郎 あれからこれから Vol.88】  2013年にAKB48に曲を提供しました。『鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの』という、タイトルだけで字数食って困りものの、おそらく日本音楽史上最も長いタイトルの曲です。  私はそれまでに『君のことが好きだから』と『走れ!ペンギン』の2曲を提供しています。AKB48にはリクエストアワーという人気曲投票イベントがあり、私の書いた3曲はそれぞれ2位、1位、1位と、ファンの間で人気が高かったのはうれしいところです。  AKB48は『現象』と称されるほど日本中にブームを巻き起こしました。それはアジア各国にも飛び火し、乃木坂46などの坂道シリーズにもつながって、完全に芸能界のあり方を変えてしまいました。  仕掛け人は秋元康さんです。とにかく本当に働き者だと思います。次々に新しいグループを作り、プロデュースし、歌詞を書く。そんな大変なことをやり続けられるのは、やはり彼が本当にアイドルという存在を愛してやまないからではないかと思います。  昭和の頃は大切なお小遣いを握りしめて貴重なレコードを買いに行ったものですが、いまやYouTubeにタダで聴ける音楽がたくさんあります。サブスクとして、言葉は悪いですが十把ひとからげの感じで山積になっています。  かつて音楽鑑賞といえば、ステレオの前に座って聴くイメージでしたが、今はそんな人はめったにいないと思います。ウォークマン以降、音楽は何かをしながら聴くものになり、MTV以降、映像が付いて当然になりました。そして音楽そのものより、何かのイメージをより強くする役割(アニメなど)、アイドルの振り付けやダンスのための素材、そしてそのグッズとしての役割といった面がより強く出てきたと思います。  はっきり言ってしまえば、商業的な意味での曲の価値は下がってしまいました。でももともと音楽の価値はその人の心の中だけのものなのです。ある人には無価値でも、ある人にはお金以上の価値があることもあります。音楽そのものの需要が減ったわけではありません。逆にあらゆる部分で音楽がより強い相互依存の中で共生するようになったともいえます。  音楽家としての私は、ハードの進化による商業形態の変化

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(2020/10/14)