米国の森林火災、ナパバレーのワイン農園に甚大な被害(ナショナル ジオグラフィック日本版)

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 グラスファイアの発生から24時間もたたないうちに、ナパバレーでも特に大規模なワイナリーのひとつ「シャトー・ボズウェル」が炎に包まれているのが確認された。 「わたし個人の所有物は一切残りませんでした。しかし、なによりの痛手は家族の歴史が失われたことです」と、オーナーのスーザン・ボズウェル氏は言う。氏の亡き夫が1979年に作った最初のワインも焼けてしまった。  火災はそこから谷の北側を容赦なく進み、少なくとも26カ所のワイン施設やブドウ園に損害を与えた。中世トスカーナの城を模して、15年の歳月と4000万ドルを費やして建設された人気ワイナリー、カステッロ・ディ・アモローサでは、主要な建物のひとつが破壊された。数週間前に改装を終えたばかりだった、高級ファッションブランド、モエ・ヘネシー・ルイヴィトンが所有するニュートン・ヴィンヤードもまた、廃墟と化した。  被害を受けた大規模ワイナリーだけではない。家族経営の小規模なワイン農園でも、歴史ある建物が炎上したほか、瓶詰めされたワインの在庫も焼け、場合によっては数年分の生産量がまるごと失われた。  多くのワイン醸造業者は、避難命令を無視して農園に残り、自分らの財産を守るためにチェーンソーで防火帯を作ったり、プロパンガスのタンクを炎から遠ざけたり、建物に水をかけたりした。そんな彼らの強い味方となったものがひとつある。ブドウの木だ。生きている植物であるブドウの木は、水をたっぷりと含んでおり、火が進む速度を遅くし、ときには建物を救うこともある。 「燃えるのは一般的に下草、つまり自生している草です」と、ケイン・ヴィンヤードのクリス・ハウエル氏は言う。「一方、ブドウの木そのものは、燃えないことがわかっています」  大きな損害が出たものの、ナパバレーの避難区域内にある215カ所のワイナリーの大半は、1週間後にグラスファイアがほぼ鎮圧されるまで持ちこたえた。ただし、数々の難しい問題は、まだようやく表面化し始めたばかりだった。

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(2020/10/14)