札所の四季 墨の濃淡で 23年かけ88ヵ所描く 伊方で披露 中国人画家・牛さん(松山)(愛媛新聞ONLINE)

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 四国八十八カ所霊場をテーマに創作活動を続けてきた愛媛県松山市在住の中国人水墨画家牛子華さん(59)が、全寺院を描き終えた。すべての寺院に四季を通じて訪れ、最も合った季節を描いている。23年かけて、こだわり抜いた集大成。15~21日、完成後初の絵画展を伊方町交流拠点施設「佐田岬はなはな」(同町三崎)で開く牛さんは「多くの人に四国の素晴らしい文化と美しい景色の雰囲気を味わってほしい」と話し、日中友好が進む契機になるよう願っている。  墨の濃淡を駆使し、幅約1メートル、縦約2メートルの和紙に雪、朝もや、瓦1枚、木の枝1本に至るまで細かく表現。桜や紅葉などには赤やピンクなどの色彩を加えており、モノトーン画面の中で一層目を引くようになっている。中でも空海生誕の善通寺(香川県)は17回訪れたという力の入れようで、幅約8メートルのパノラマ作品に仕上げた。  中国山西省出身の牛さんはプロ絵師として活動していた1997年、自身が日中交流の祖と仰ぐ空海が開いた四国霊場の存在を知った。足跡をたどり作品にしようと決意。松山市に移住した。  スケッチで各寺院を回る中で印象に残ったのが日中の違い。「中国は建物そのものの美しさが評価されるが四国霊場には自然と融合した美しさがある」。季節の移ろいとともに変わる寺の雰囲気に魅了された。3年の予定だった創作期間を延ばして寺院に通い詰め「本物の臨場感を表現したい」と僧侶から来歴を聞き取るなどした。  1回3、4時間という写生は「1地点から見るだけでは描けない、空中で描いているかのような立体感が出る」という中国の山水画特有の技法を用いるため、視点を変えて何度も臨んだ。  桜が満開の繁多寺(松山市)を描いた作品を8月末に完成させ「絵画遍路」を終えた牛さん。「時間を忘れるくらい有意義な23年だった。空海は私に素晴らしい日本の文化を教えてくれた」と笑顔で活動を振り返る。  今後は中国でも展示する考え。「四国の自然や空海の偉業を伝え、文化や観光など友好関係にもつながればうれしい」と言い「金剛峯寺(和歌山県)や東寺(京都府)など空海ゆかりの地を訪れて描きたい」と創作意欲を燃やす。  伊方町では11点を展示。17、18両日は牛さんとの交流の時間もある。牛さんのアトリエ兼教室がある砥部焼観光センター炎の里(砥部町千足)2階でも数点展示している。いずれも入場無料。

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(2020/10/14)