パリ「失敗テロ」が浮き彫りにした「付き添いなき未成年」問題(新潮社 フォーサイト)

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 それから5年半あまりの今年9月25日、同じ場所で、再びテロが発生した。道端にいた人々を男が刃物で襲い、2人にけがを負わせたのである。場所が場所であり、また『シャルリー・エブド』事件を巡る裁判が開廷中の折でもあり、大きなニュースとなった。  同時に、被害は比較的小規模だった。とっくに移転した『シャルリー・エブド』編集部がまだそこにあり、自分がその関係者を襲ったと信じ込むなど、容疑者はいかにも間抜けだった。「イスラム国」(IS)やアルカイダで訓練を受けた形跡もうかがえなかった。未熟な過激派が起こした単発的な出来事に過ぎず、「一時沈静化したイスラム過激派の活動が再び活発になる予兆」とは考えにくかった。  つまり、テロとしては完全に失敗なのだが、この事件は別の意味で、議論を招くことになった。容疑者は「付き添いなき未成年」(MNA)として保護を求めた人物だったからである。  MNAは、大人に伴われないままたどりつく難民を指す用語で、通常は人道的措置の対象となる。ただ、近年はこの制度を逆手に取って、未成年の振りをする難民が急増し、問題になっていた。この容疑者も、18歳と主張しながら、実際はすでに25歳になっていたと、後に判明するのである。  MNAは、フランスに限らず欧州各国にとっての課題である。これを機に考えてみたい。

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(2020/10/14)