待遇格差訴訟の原告ら「時代に反する」と憤り(産経新聞)

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 非正規雇用の労働者と正社員の待遇格差をめぐり、ボーナス(賞与)や退職金を支払わないことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は13日、一部の支払いを命じた2審判決をいずれも見直し、「不合理な格差とまでは言えない」として賞与と退職金に相当する部分の請求を棄却した。  最高裁の判断に対して、原告となった女性らは閉廷後の会見で憤りをあらわにした。弁護団からは「格差是正の動きの中で、ここまで時代に反した判断をするとは」などと批判の声が上がった。  「10年間、正社員と同じ仕事をして、『ご苦労さん』というお金すら認められないのか」  東京メトロの駅構内の売店で販売員として10年以上勤務し、平成27年に定年退職した「メトロコマース」元契約社員の疋田(ひきた)節子さん(70)は声を震わせた。この日の最高裁の判決では、2審東京高裁判決で認められた50万円弱の退職金の不支給が決定。6年超に及ぶ法廷闘争を繰り広げてきたが、勝ち取れたのは住宅手当と褒章金のみだった。  ともに退職金の支給を求めてきた加納一美(ひとみ)さん(71)も、「最高裁は人権の最後のとりでというが、みじんも感じられなかった。裁判官は経営者の方を見ているのではと、不透明感だけが残った」と語った。  一方、大阪医科大の研究室で秘書として勤務していた元アルバイトの50代女性も、2審大阪高裁判決で6割の支払いが認められた賞与が不支給に。女性は今年4月に「同一労働同一賃金」の実現を目的とした「パートタイム有期雇用労働法」が施行されたことを念頭に、「格差を無くそうとする法律ができても、裁判所の判断が追い付いていない」と唇をかんだ。  最高裁は両訴訟の判決理由で、「賞与や退職金の支給目的は正社員の人材確保と定着を図ることにある」と指摘。いずれの法人でも正社員などへの登用制度が設けられていたことに触れ、「(正社員と非正規社員の)労働条件の相違は不合理とは認められない」とした。  大阪医科大訴訟で代理人を務めた鎌田幸夫弁護士は、「最高裁が格差是正の処遇について正面から判断すべきだった。企業側は『定着しなくてよい人材なら賞与がゼロでもいい』となってしまう」と懸念。メトロコマース訴訟代理人の井上幸夫弁護士は「ヨーロッパでは使用者側に格差の立証責任がある。法改正をしなければ、労働者が裁判で勝つことは難しい

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(2020/10/13)