会社の不正に気づいた課長…「慣例通り」の圧力に屈して起こる“最悪のシナリオ”(PHPオンライン衆知(THE21))
【リンク先抜粋】
【研究所から事業部の製造担当セクションに異動してきた田中課長。2週間ほどたったところで現場の性能検査に立ち会うことになった】
田中課長:佐藤次長。実はさっき、性能検査を見たのですが……。
佐藤次長:何かお気づきになったことはありましたか?
田中:はい。えっっと。基準値に達していない検査結果を、検査員
がとくに問題視していないのですが、あれはいったい何でしょ
うか?
次長:……いつかはお話する日が来ると思っていましたが、今日がその日になったわけですね。結論から言うと、うちの商品Zはお客様に保証した性能に達していません。
ざっと約2割程度水増ししています。そして、外部に公表している性能は、元データから齟齬が出ないように慎重に作成されたプログラムをかけ
て補正しています。
田中:……。
次長:じつは私も赴任してきて2週目にこの事実を知りました。
田中:ちょっと待ってください。佐藤次長がこちらにこられたのは
10 年くらい前じゃないですか?
次長:はい、12 年前です。
田中:12年前にはすでに改ざんが行われていたということですか?
次長:残念ながら。実際は15 年前くらいかもしれません。
田中:このことは、経営陣は知っているのでしょうか?
次長:少なくとも技術部門と製造部門の両専務はご存知です。社長がご存知かどうかはわかりません。うちの場合、営業部門や管理部門はまったく技術や製造には関知しませんから。
田中:お客様は気づいてないのでしょうか?
次長:幸いなことに、普通の使用で基準値のレベルが必要になるこ
とはないのです。はるか下のレベルで99%がこなせるので、問題ないといえば問題ないのですが……。
田中:問題ないのですが……とは、何かあったんですか?
次長:クレームになったことはあります。その際は、コストを度外視し
て補修工事し、お客様にはご満足いただいて今日にいたります。
田中:わ、私はどうすればよいのでしょう!