ドイツの岐路(中)「黒船」米中到来 自動車王国は戦国時代に(産経新聞)

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 自動車王国のドイツが、「黒船」到来で大揺れだ。しかも、米中両国から押し寄せた。  米国からは電気自動車(EV)大手メーカー、テスラがベルリン郊外に進出。来年夏の操業を目指す。中国のEV用電池世界最大手「寧徳時代新能源科技」(CATL)は昨年、テューリンゲン州で同社初の海外工場を起工した。  9月初め、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がプライベートジェットで訪独すると、ロックスターが来たような大騒ぎになった。  マスク氏は建設中の工場を訪れ、気さくに記者たちの質問に答えた。「楽しい職場にするよ。いかした車をつくる。ここは世界一、環境に優しい工場になる」と笑顔を振りまいた。  テスラにとっては欧州初の巨大工場で、マスク氏が昨年11月、建設を発表。2月には工事が始まった。新型コロナウイルス禍でも着々と進み、「自動車工場は稼働までに5年はかかる」という業界の常識を覆した。年間50万台の生産を目指す。  独大手フォルクスワーゲン(VW)は戦々恐々だ。ヘルベルト・ディースCEOはマスク氏が帰国前に空港に来たところに乗り込み、自社EVの試乗に誘った。9月に納車を開始した「ID.3」だ。  マスク氏が雨の中、運転しながら「事故対応はどうですか」と聞くと、ディース氏が助手席で「ドイツが誇る緊急対応装置がついている。走りも安定しているでしょう」と答えた。静かに火花を散らす2人の様子を、VWは動画で公開した。「EVでテスラと勝負する」と言わんばかりだ。  VWは2015年、ディーゼル車の排ガス規制逃れ発覚で大打撃を受けた。起死回生をかけて昨年11月、IDシリーズの量産を始め、EVに本格参入した。  独紙ウェルトのフィリップ・ベステル記者は「ドイツ大手は環境車対応でディーゼル車を重視し、EV化に出遅れた。テスラを軽く見ていた。今は巻き返しに懸命です」と話す。ドイツ自動車業界は昨年、EV開発の資金捻出のため、計4万人の雇用削減を発表した。VWは最大7千人、ダイムラーは1万人だ。  中国からはCATLのほか、自動車メーカー「奇瑞汽車」「吉利汽車」が昨年、ヘッセン州に相次いで研究開発センターを設置した。同州は独大手オペルが本社を置く牙城だ。  米中企業がドイツに集まるのは、VWやダイムラーなど世界的メーカーを擁し、自動車部品から整備、販売網、さらに人材がそろ

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(2020/10/10)