米国伝統の犬レースが消滅へ、背景にドーピング、不正な殺処分の歴史(ナショナル ジオグラフィック日本版)

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 8月の夜、米国フロリダの空を背景に「グレーハウンドレース」という赤いネオンサインが輝く。かつては数千人が詰めかけたこのドッグレース場の観客席に、今は300人ほどが散り散りに座っている。スピーカーからはロカビリーミュージックが響く。 ギャラリー:米国伝統の犬レース、最後の日々 写真と図解22点  レースドッグの入場とともに、場内は静まり返る。  TNTシャーロック、テイルスピン……。アナウンサーが8匹の犬の名を読み上げる中、調教師たちは犬たちをゲートの中に入れる。模型のウサギが猛スピードで動き出し、ゲートが開くとスタートだ。犬たちはウサギを追って飛び出し、砂を蹴り上げながらおよそ30秒でトラックを駆け抜ける。そのスピードは時速72キロメートル。チーターに次ぐとされる速さだ。  ここは、米国で最も長く営業を続けているグレーハウンドレース場「ダービーレーン」。かつて、華やかで刺激に満ちた場所だった。観客席にはスーツと帽子を身に付けた男女が集い、その中にはベーブ・ルースや歌手のソフィー・タッカーの姿もあった。ジョー・ディマジオはマリリン・モンローを車に残してレースに駆け付けたと言う。  しかし、その歴史は間もなく閉じられようとしている。2年前、フロリダ州には米国の17カ所のグレーハウンドレース場のうち、最も多い11カ所があった。それが、今では3カ所しかなく、レースに参加している犬は1700匹ほどだ。  2018年、フロリダ州の住民は、州憲法改正への賛否を問われた。2020年12月31日をもってグレーハウンドへの賭けを禁ずるという修正案だ。レースそのものを禁止することと同じ効果を持ったこの内容は、ドッグレースを残酷で非人道的だとして批判する人々によって提案されたものだ。  対してドッグレース業界は、修正案は通らないだろうと踏んでいた。虐待の話は大げさだし、レースの人気もさほど衰えていないと信じていたのだ。そのためレース存続のための宣伝費は、レース反対派がキャンペーンに投じた金額とは比較にならない程度の額しか投じなかった。  しかし、彼らの読みは外れた。70%近くの投票者が賭け禁止に賛成したのだ。2021年の年始までに、レース場は閉鎖されなければならない。ダービーレーン最後のレースは、12月27日に開催される。 「95年も続けてきたのに、閉鎖するのは残念です

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(2020/10/10)