臭みも抜けて身が締まる 「塩ヅケ」刺し身のススメ(NIKKEI STYLE)

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多少鮮度が落ちてしまった魚をおいしく食べるにはどうしたらよいだろうか。一つには、しょうゆやしょうゆベースの調味液に漬け込む「ヅケ」という技法がある。最近は、この漬けの塩バージョンに注目が集まっている。魚を「塩ヅケ」にするとなぜおいしくなるのか、そのメカニズムなどについて触れてみたい。 魚に塩をまぶして寝かせる技法は、実は身近な手法といえる。代表格が「塩鮭」だ。全国各地の鮭料理についての歴史や文化・風習などを研究した「鮭鱒聚苑」という本にも、「塩ふらずして鮭にあらず」という言葉が出てくる。塩は鮭をおいしく食べる上で欠かせないアイテムにもなっている。「塩ヅケ」には味付けや保存という目的に加え、魚の生体もそこに深く関わっている。 一般に海水魚は海水の中で育ち、魚の体内には一定濃度の塩分が含まれている。海水の塩分濃度の方が高いため、浸透圧で常に体内の水分が吸い出される状態になっている。体内から水分が吸い出されると、塩分濃度が上がるため海水魚は大量の海水を摂取し、余分な塩分を排出しながら生きている。魚の身には元来、水分が多く含まれているわけだが、時にこれが「なんだか水っぽい」という印象を与えてしまう。さらに魚の生臭みをとるため真水で洗うと一層、真水が身に入り込み、水っぽさが増してしまう。これでは魚のおいしさ台無しである。 そこで塩の出番となるわけだ。塩をまぶしてしばらくおくと、魚の身の中の余分な水分が抜けて、身が締まる。咀嚼(そしゃく)回数が増えれば、うま味を感じやすくなり、さらに水分と同時に臭みの元となる成分も抜ける。若干鮮度が落ちていたとしても、臭みを感じにくくなる。魚を塩づけで食べるのは、良いことづくめということになる。 塩ヅケにする際のコツは、柵の状態で行うこと。一口サイズに切り分けてある刺し身の状態だと、空気に触れる面積が大きく、酸化が早く、臭みが出やすい。おまけにドリップが出て、魚のうま味成分も抜けてしまいがちだ。塩ヅケの刺し身をおいしく食べるなら、柵を使うのがおすすめだ。 塩ヅケの作り方を具体的にご紹介しよう。柵で手に入りやすいマグロを例にしてみる。まずは、柵の表面にまんべんなく塩をぬりたくる。塩を塗ったら、バット(角形の浅い容器)などの上にマグロの柵をちょっと斜めにして置き、15分から20分ほど放置。第2のポイントは冷蔵庫の中で寝かせるか、氷など

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(2020/10/10)