上野由岐子しか狙わない!金獲得の瞬間、最高の笑顔…カメラマンがファインダー越しに見た2008年北京五輪(スポーツ報知)

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 スポーツ報知のカメラマンが、五輪の現場で撮影した瞬間を振り返る企画の第5回は2008年北京大会。ソフトボールでエース・上野由岐子が「上野の413球」と呼ばれる活躍で初の金メダルをつかんだ一瞬のために、カメラマンは強い気持ちを抱いていた。  突然強くなってきた雨のため、決勝は4回表で一時中断した。体はずぶ濡(ぬ)れになってしまったが、カメラとレンズは濡らさないようにしながら、試合再開をじっと待つ。頭の中では冷静に、最後の瞬間の上野をどう撮影するか考え続けていた。  ソフトボール日本代表は2000年シドニーで銀、04年アテネで銅。次の12年ロンドンでは、野球と共に正式競技から除外されてしまう。この試合に勝たなければ当面、金メダルはない。日本を決勝まで導いた絶対的エースの上野は、悲願の金を狙う北京での象徴的な存在だった。  優勝の瞬間の上野。それだけしか狙わない。むしろ、それ以外何も撮らないくらい上野に集中する。決勝の球場に向かうバスの中で心に決めていた。日本が勝つ、上野しか撮らない―。  本来なら、カメラマンは取材現場でさまざまな状況に対応するため、これから起こる数パターンの可能性を撮影前に頭の中で予測しておき、実際に発生した事象に対応する。反応速度が速いから「決定的瞬間」を捉えることができるのではなく、いろいろなことを予測しているから、いい写真を撮れるのだ。仕事ができるカメラマンなら、十数パターンの予測を張り巡らせて対応することだってできる。ただ、この時は本当に1パターンしか考えていなかった。  雨は小降りになり、試合再開。相手の4番に一発を浴びたり、最終回にもピンチがあったが金メダルを獲得した。最後の瞬間、息をする間もなくシャッターを押し続けた。幸運にも写っていたのは、私が唯一、予測していた「最高の笑顔でバンザイしながら捕手の元に駆け寄る上野」だった。(二川 雅年)

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(2020/10/10)