IR提出期限延期 和歌山県“万博前”の優位性崩れ戦略練り直し(産経新聞)
【リンク先抜粋】
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)で、政府が9日、正式表明した誘致自治体による政府への整備計画の提出期限延期。和歌山県が当初目指してきた、2025年大阪・関西万博前の開業は事実上困難になった。新型コロナウイルスの影響で万博前開業を断念していた大阪府・市に対し、着々と準備を進めてきた県の優位性は崩れ、今後のスケジュールや戦略の練り直しを余儀なくされそうだ。(前川康二)
「大変不満で遺憾。万博前(の開業)は現実的に難しいかもしれない」。政府の延期表明後、和歌山県の仁坂吉伸知事は悔しさをにじませた。
IRは全国で最大3カ所選定される。政府の当初スケジュールでは、自治体側が整備計画を提出する期限を来年1月4日~7月30日と設定していたが、今回9カ月延期された。
現時点で正式に誘致を表明しているのは、和歌山県のほか、大阪府・市と横浜市、長崎県。
和歌山県では政府の当初スケジュールを踏まえ、着々と準備を進めてきた。
今年5月には、県の事業者公募にカナダのクレアベストグループと香港のサンシティグループの2事業者が応募。県では今月19日までに事業者側から提案書類提出を受け、来年1月ごろに事業者を選定するスケジュールで進めてきた。それだけに担当者も「まさか先延ばしになるとは…」とショックを隠さない。
近畿では、万博の開幕直前の令和7年春ごろ開業を目指す和歌山県のほか、万博開催地の大阪府・市もIR誘致レースに名乗りを上げている。
県では誘致先の和歌山市の人工島「和歌山マリーナシティ」で造成を済ませ、電気やガス、上下水道などの基本的な社会基盤整備も完了。「今すぐにでも着工できる」と、整備の遅れる大阪府・市の誘致先の人工島「夢洲(ゆめしま)」との違いを強調してきた。
さらに今年に入ると、新型コロナの感染が全国に拡大。影響を受けた大阪府・市は3月、万博前の開業断念を表明した。
一方で、県は「万博前に開業できる唯一のIR」とアピールし、誘致を有利に進める戦略を描いていた。
コロナ禍以降も、政府側に再三、当初予定通りのスケジュールで進めるよう要請。仁坂知事も「和歌山だけが国の示したスケジュールに沿って着々淡々と進めている。しかも何度も変更がないか確認してきた」とし、「県の思いは言わなくても分かるはず。それを裏切れば正義は地に墜ちる」とスケジュール見直