心優しきロックンロール・クイーンの軌跡──映画『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』(GQ JAPAN)

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都会の何がいいって、「学年でひとりかふたり」みたいな趣味嗜好や思想信条の持ち主が各地から集まってきて、数十人、数百人、数千人の「小さな社会」を形成できるところ。9月から10月頭にかけて東京・新宿と大阪・心斎橋で開催されていた特集上映「UNDERDOCS」は、まさにそれを示す例のような催しだったと思います。公式サイトによれば、「地下にうごめく〈ロック・ドキュメンタリー映画〉一挙上映」。おそらく一般的に知名度はあまり高くないけれど一部で深く愛されてきた伝説的バンドの勇姿が大きなスクリーンに映し出される貴重な機会でした。 このアンダーグラウンドの匂いが立ち込めるラインナップの中で、日本初公開となった『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』(2018年)は、比較的メジャー感のある作品だと言えるでしょう。ジョーン・ジェットといえば、70年代から活躍する「女性ロックスター」の代表的存在。実を言うと私はこれまであまり熱心に聴いてこなかったのですが、今回このドキュメンタリーを観て、彼女が偉大な先駆者として尊敬されている理由がよくわかりました。大好評につき月末から単独上映されるとのことなので、ロックと女性、そして「猥雑だけど熱いハートのある不良文化」に興味のあるかたにおすすめしたいと思います。 ジョーン・ジェットは1958年生まれ。13歳でギターを手に取り、高校時代に同世代の女性だけで組んだバンド「ザ・ランナウェイズ」でデビューしました。ザ・ランナウェイズはアメリカではヒットに恵まれなかったものの、ツアーを重ねて腕を磨き、特に日本では大人気を博しました。しかしバンドは4枚のアルバムと1枚のライブアルバムを発表した末、1979年に解散。ジョーンはソロ活動を始動します(ちなみにこの時点でまだ20歳)。 ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツを結成し、インディペンデント・レーベルを立ち上げ、1982年には「アイ・ラヴ・ロックンロール」がビルボードで7週連続ナンバーワンの大ヒットを記録。ポール・シュレイダー監督の映画『愛と栄光への日々』でマイケル・J・フォックスと共演するなど華々しく脚光を浴びましたが、ジョーンはメジャーなショウビジネスの世界に馴染むことなく、オーディエンスの顔が見えるライブを主軸に音楽活動を続けました。90年代初頭にオリンピアとワシントンDCから広まったDIY

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(2020/10/09)