これまでの常識を覆されるメソポタミア以前の最終氷河期の終わりに建造されたきわめて高度な「人類最古」の宗教施設"エデンの神殿"の謎【橘玲の日々刻々】(ダイヤモンド・ザイ)
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宗教学者レザー・アスランはテヘランに生まれ、イラン革命で家族とともにアメリカに亡命し、子ども時代に神=宗教に魅かれるようになってキリスト教に入信した。ハーバード大学神学大学院などで宗教史を学んだあと、現在はカリフォルニア校リバーサイド校で教鞭をとっている。
歴史上の人物であるイエスと、その後の「創作物」としてのキリストを論じたアスランの『イエス・キリストは実在したのか? 』はアメリカで20万部を超えるベストセラーになったが、その理由のひとつはアスランがキリスト教からイスラームに改宗したことだった。それも主流であるスンニ派ではなく、少数派のシーア派のなかのさらにマイノリティである(異端ともされる)スーフィーに帰依していたのだ。
[参考記事]●イエス・キリストは実在したのか?
新著『人類はなぜ〈神〉を生み出したのか? 』(文藝春秋)でアスランは、キリスト教やイスラームにとどまらず、人類はどのように“神”の物語をつくってきたのかを論じている。原題は“GOD A Human Story(神 人類の物語)”。今回はそのなかから、とりわけ興味深かったメソポタミアの神々についての章を紹介してみたい。おそらくこれまでの常識が覆るだろう。
●「宗教によって農耕が始まった」
トルコ南東部、シリア北部との国境から数十キロのところにある古代都市ウルファ(現在のシャンルウルファ)は「エデンの園」と呼ばれている。メソポタミア北部のこの地が、旧訳聖書で描かれたエデンのようにティグリス川、ユーフラテス川を含む4つの川の間に位置することもあるが、より重要なのは、そこから15キロほど北東の高い山の尾根の頂に「ギョベクリ・テペ」があることだ。
ギョベクリ・テペは「太鼓腹の丘」の意味だが、“エデンの神殿”ともされる。なぜならこれが「人類最古」の宗教施設だからで、考古学者は1万4000年前から1万2000年前の最終氷河期の終わりに建造されたと考えている。
この遺跡が考古学者たちを驚かせたのは、先史時代につくられたにもかかわらずきわめて高度な建築物だからだ。それは以下のように描写されている。
(ギョベクリ・テペは)モルタルもしくは石でできた20以上の円形もしくは楕円形の大きな石囲いで構成されている。星雲のような渦巻き状のものもある。複数の建造物から成る神殿群は縦横それぞれ300メ