日本ブランドで唯一パリコレ参加したヨウジ ヤマモト。(VOGUE JAPAN)
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あるドレスは、花びらや葉のモチーフが重ることでブーケのようにも見える。ただ、萎れていたり、焦げていたりとやや元気がない表情。またあるドレスは、本来隠されるはずのクリノリンのような針金の骨組みが露わになっている。
「人間は必ずしも良いとは限らないが、人間の側に立ちたかった」
バックステージで山本氏は、US版『VOGUE』のインタビューに向けてそう話している。その言葉からも分かるように、完璧なものよりも少し“歪み“があるもの、不合理で不安定なものに美しさを感じるような繊細な感覚を落とし込んでいるようだ。それは、古来から自然界の不十分さを良しとする日本人に根付く感性でもある。フィナーレに意味深に登場したオールホワイトの4ルックは、儚く繊細な人間性と力強い生命力から生まれる希望の象徴のように捉えられた。今回、デジタルプレゼンテーションでは、エモーショナルな感情を引き出すことは難しかったのかもしれない。フィルターのないストレートな演出だからこそ、観る人の胸に強く訴え、余韻を残した。最後の挨拶に現れた山本氏はマスク越しに笑顔を見せ、ショーは閉幕した。