SUPER BEAVERの音楽は〈あなた〉と共にある。8ヵ月ぶりのライヴで観た気持ちの往来(音楽と人)

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  歌声の聴こえない客席。でも聴こえる気がした。それくらい気持ちが溢れていた。その見えない思いを受け取ろうと4人も必死だった。聴いてくれるあなたへ気持ちを伝えたり、あなたが伝える気持ちを受け取ったり、そういったやりとりから生まれる音楽。あらためてSUPER BEAVERの根っこにあるものを実感させられたライヴだった。 SUPER BEAVERが日比谷野外大音楽堂にて行った、有観客での生配信ライヴ。時間になり会場の様子が映し出される。隙間のある客席は、これから始まるライヴへの期待を感じさせながらも、やはりどこか寂しい。メンバーが登場しても、拍手の音だけが響く。ステージもフロアも、お互いに少し戸惑っているような雰囲気が画面からも伝わってくる。1曲目「ありがとう」のワンフレーズを唄い終えると、〈ふぅ〉とあらためて気合いを入れた渋谷。それ以降、戸惑いや緊張といったネガティヴな要素を一切感じさせなかったのは、さすが百戦錬磨のライヴバンドだ。 4人はいつも以上に〈伝える〉〈届ける〉ということを音や歌だけでなく、全身で表現していた。柳沢と上杉のコーラスは叫びに近いくらい声を張り上げていたし、渋谷はステージの端から端まで動き回り、少しでも聴き手のそばにいこうと手を伸ばす。藤原のドラムもいつもより熱っぽい。なにより彼はマイクがなくても誰よりもデカイ口で歌を口ずさんでいる。 ライヴ中、渋谷が野音の客席に呼びかけている時、柳沢はカメラのほうへ目線を送る、というような場面が多く見られた。それは逆もしかり、他のメンバーもしかり。今回の公演は〈生配信ライヴを有観客で行う〉と説明されていた。〈有観客ライヴを生配信する〉という言い方をしなかったのは、おまけで生配信を行うわけではなく、あくまでも画面の向こう側にいる人にも音楽をきちんと届ける、というバンドの姿勢の現れだろう。だからカメラに向かってマイクを向けたり、メンバー紹介では「配信をご覧のあなた」とも言っていた。観る場所がどこであろうと、自分たちのライヴにお金と時間を使ってくれる人に対する意識は変わらない。むしろ直接伝えられないぶん、その思いは強くも感じられた。 現場至上主義の彼らにとって配信ライヴはその流儀に反するだろう。でも7月に行ったライヴドキュメントの配信を経て、自分たちが楽しいと思えたこと、画面越しでも伝えられること、伝わって

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(2020/10/06)