彫刻家・絵師・狂言師…森川杜園生誕200年で特別展(産経新聞)
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奈良人形(奈良一刀彫)を芸術の域にまで高めた彫刻家にして絵師、狂言師でもあった森川杜園(とえん)(1820~94年)の生誕200年にちなむ特別展「芸能の美・杜園の心」が、奈良市の春日大社国宝殿で開催されている。作品を中心に計約90点を展示し、鹿や能・狂言などを表した杜園の魅力に迫る。12月13日まで。
森川杜園は奈良市に生まれ、少年時代に鹿の絵で知られた内藤其淵(きえん)に絵を学び始めた。その後、奈良人形の制作を始め、狂言も習った。こうした多才さがその木彫作品を独自の作風にしたと高く評価されている。
展示品のうち、「大立鹿」(個人蔵)は円熟期の鹿の傑作で、奈良人形らしさを残しながら写実的な近代彫刻となっているとされる。このほか、神鹿(しんろく)への畏敬(いけい)が伝わる「御生玉伏(いくたまぶせ)白鹿座像」(奈良市文化財、春日大社蔵)や「親子鹿」(個人蔵)、「伏鹿」(同)など愛らしさが感じられる作品が並ぶ。また、芸能の作品では、能の舞姿をとらえた「融(とおる)」(依水園・寧楽美術館蔵)などが展示され、その才能がうかがえる。
さらに今回、高円宮妃久子さま御所蔵の根付も公開されている。
春日大社国宝殿の松村和歌子主任学芸員は鹿の作品について、「杜園は常に『神鹿』を意識すると同時に日常的な愛らしさも込めた。他の小さな生き物も観察し、優しい眼差しが感じられる」と話している。
前期は11月4日まで、後期は同6日~12月13日。一般500円、高校・大学生300円、小・中学生200円。問い合わせは、春日大社(0742・22・7788)。