美術評論家・伊東順二「日常をいかに大事にするか」これからのキーワードに言及(TOKYO FM+)

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伊東:(番組でかける)曲を持ってきてくれたんでしょ? 舘鼻:はい。持ってきましたよ。秘密のバーで2人で聴くということで。ちょっと先に曲を聴いていただこうかなと思うんですけど。アラバマ・シェイクスというバンドの「オールウェイズ・オールライト」という曲なんですけど。 ーーアラバマ・シェイクス「オールウェイズ・オールライト」がオンエア中。 伊東:舘鼻さんって、頭の中にいっぱいプレイリストがあるでしょ? 舘鼻:いや、そんなことはないですけど(笑)。僕が好きな『世界にひとつのプレイブック』という映画があって、アカデミー賞を取りましたけど。ジェニファー・ローレンスの日常を描いているような映画ではあるんですけど、映画って総合的な芸術の作品としてもそうだし、音楽であったり映像であったり、いろいろな要素が含まれているわけじゃないですか。そういう要素がセットで、自分の頭のなかで記憶に残るというか。 自分の日常のなかでも、そういう日々の場面があると思うんですけど、断片的に1つの要素だけで記憶に残るわけじゃなくて、例えば匂いを嗅いだら思い出すみたいな。そういうものが芸術的な感覚としては、人間にすごく結びついているんだなっていうふうに思っていて。僕はこの曲を聴くと、何だかちょっとその映画のことを思い出して、幸せな気持ちになれるんです。 伊東:今の言葉のなかで日常という言葉がありましたけど、“日常をいかに大事にするか”ということは、今のキーワードじゃないかなと思うんですよね。何か特別なことじゃなくて、日常を見つめて、日常自体を豊かにしていくこと。それが日々大事になってきているんじゃないかと思うんです。音楽というのは、いつもそこに寄り添っているものなので。僕は昔から造形芸術と音楽とを別に考えたことがなかったんですよね。 例えば80年代の初めにニューヨークやパリに住んでいて、その頃(ジャン=ミシェル・)バスキアたちが登場してきました。ジャンルミックスなクラブカルチャーがちょうど出てきたころで。今でも思い出すんですけど、ダウンタウンのクラブに行くときが怖かったんですよね。バスキアの初めての展覧会に行った時はアベニューAの「ファンギャラリー」という場所でおこなわれたんですけど。その後、彼を交えた展覧会を日本に持ってくることになったりもしたんですが。 舘鼻:その当時のアベニューAと言えば

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(2020/10/04)