ショウジョウバエも支えた?ノーベル賞研究「生理学・医学賞」(THE PAGE)
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一連の実験を行ったのはアメリカのモーガン博士です(1933年)。モーガン博士はある日、赤色の眼をした通常のハエとは違う、白色の眼を持った突然変異体のオスのハエを発見しました。これが遺伝子の研究を進めていくための転機となります。博士はハエの染色体と白眼の関連を丹念に調べていきました。さらに、体色や翅(はね)の形が通常の個体とは違う突然変異体を次々に見出し、実験を重ね、ついに染色体に遺伝子があることを証明したのです。
その後、モーガン博士の弟子であるマラー博士は、染色体にX線を当てて傷つけることで、人工的に突然変異体を生み出せることを発見しました(1946年)。遺伝子はもはや想像上のナニカではなく、人の技術で触れられる物質であることを実証したのです。
遺伝子の居場所が染色体だと分かったことで染色体の研究が進められ、遺伝子の正体を探る研究が発展していきました。その後、遺伝子の本体がDNA(デオキシリボ核酸)であること、DNAが二重らせん構造をしていること(1962年)、DNAを構成する4種類の塩基の並び順(塩基配列)がタンパク質の設計図になっていること(1968年)などが解明されました。これらの研究にショウジョウバエは直接関わっていませんが、遺伝子の発見によってさまざまな学問分野が大きく発展したことを考えると、モーガン博士がショウジョウバエを使って「遺伝子のありか」を見つけたことは大きな転換点の一つだったといえるでしょう。