松雪泰子 芸術の力はすごい――、作品から得られる感動と学び:インタビュー(MusicVoice)

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 シソンヌじろう、大九明子監督、松雪泰子がタッグを組み、同名原作を実写映画化した『甘いお酒でうがい』が、コロナ禍での公開延期を経て、9月25日(金)に公開となった。じろう(シソンヌ)が長年演じてきた代表的登場人物のひとりである「川嶋佳子」を、日本映画界を代表する女優のひとりである松雪泰子が、その確かな表現力でリアルなキャラクターとして観る者の共感を誘っている。その丁寧なアプローチについて本人は、「すごく密度が濃い長い時間でしたので、『佳子さんとして何かをしなくては』と考えることよりも、ほぼひとりでもあったので、自然とそうなった気がしています」と謙虚に述懐した。同世代の、特に女性の支持を得そうな本作について、松雪本人に話を聞いた。【取材=鴇田崇】 **『甘いお酒でうがい』撮影の裏側 ――完成した映画を観ていかがでしたか?  主人公にはほぼセリフがない状態で、モノローグで進行していくという作品のムードのなか、静かに淡々と、詩的にドラマが展開していくけれども、いろいろなところに生きるアイデアとヒント、気づきが散りばめられていて、観ていて心が温かくなる作品だなと思いました。みなさんに穏やかに鑑賞していただける作品になったかなと思いました。 ――とても共感を呼びそうな主人公像ですが、演じる上で工夫したことは?  脚本に書かれていることはあくまでもベーシックなことでガイドであり、大九監督が現場でもっと増幅させたシーンに演出されていく毎日だったので、いい意味で無の状態でいられました。わたしの中のイメージはたくさんあるのですが、そこにこだわりすぎるというよりは、そこにちゃんと存在するってことが大事なのかなと思っていました。あとは監督のディレクションの中でどれだけ自由にいられるか、ということだったと思います。 ――たった一言のト書きから、すごく膨らませていく手法のようですね。  そうですね。彼女がお気に入りのピアスを探すシーンでは、「ものを大切にしている人ですし、とにかくその時間は自由に探してみてください」と。どこかに旅立ってしまって、いなくなったジュエリーを見つける時の場面なので、丁寧に説明してくださいました。  あとはボジョレー・ヌーボが解禁の時に酒屋に買いに行くシーンでは、脚本上ではただ「酒屋に行く」とだけ書いてありましたが、撮影現場に行ったら「踊ってくださ

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(2020/10/03)