原宿・Wisdom Tool──新世代のクラフツマン、注目のテーラーと靴職人に迫る。(GQ JAPAN)
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テーラーの持つ堅苦しさがウィズダム ツールにはない。ここは、多くの人が抱く先入観を忘れさせるビスポーク テーラーだ。店内には今時のヒップホップが流れ、盆栽が展示されている。ビシッと決めたスタッフが着るスーツは、よくみるとコットン素材だったりと、従来の職人系テーラーのもつイメージと違った、カジュアルな空気が流れている。
代表の高橋さんは、子供たちが憧れる大人像を作りたいという想いから、テーラーの道を志した。しかし、キャリアを重ねるにつれて、小さな疑問が芽生え始める。「スーツ業界は、歴史やルールを重んじます。でも、それに固執しすぎるあまり、お客様の楽しみが二の次になっている」。ファッションの本質は、楽しむことだ。高橋さんはその一心から、独立を決意した。
店は、完全予約制を敷く。初来店の方には2時間程度の十分な時間を取り、一緒に理想の1着を描いていく。「お渡ししたところで終わりではなく、お客様も僕たちもそこからが始まり。洋服以上の価値を提供したいので、最初の1着を気に入って再び来店してくれることほど、嬉しいことはありません」。
また、高橋さんは生地メーカーや職人とも密接にコミュニケーションをとる。カジュアル化が推進されるいま、スーツの間口を広げることはひとつのミッション。彼はスーツの奥深さを伝えることが、一番の近道であると考えると同時に、テーラリング技術を追求する過程で、自らもその魅力に心酔していったという。「誰が、どういう工程を経て、何にこだわり、どんな1着が完成したか。その物語を伝えることは、僕らの役目です。業界には、若くて、熱量のある職人が大勢います」と、高橋さんは仲間たちのことを嬉しそうに話してくれた。
ものづくりに、流行や刹那なバズは必要ない。「革新的なことに興味はなくて、業界と毎日をより良くして、この先に残るものを作りたい。だから、僕たちは毎日が基本の繰り返しです」。優しい笑顔の若きテーラーは、今日も丁寧に一生ものの1着を仕立てる。
PROFILE
高橋康太朗
Wisdom Tool 代表
東京都出身。都内テーラーを経て、2018年に仕立て屋「Wisdom Tool」を原宿にオープン。カルチャーや音楽にも精通し、政治家からスポーツ選手、アーティストなど幅広い顧客が彼のもとに集まる。
Wisdom Tool
住:東京都渋谷区神宮前 2-31-8 3F