最新作「アルルカンと道化師」刊行 目標は水戸黄門、勧善懲悪で100冊 作家・池井戸潤さん(産経新聞)

【リンク先抜粋】
 痛快で魅力的なミステリー作品を書き続けている作家、池井戸潤さん。高視聴率をたたき出しているテレビドラマ『半沢直樹』の原作最新作が講談社から刊行された。ファン待望のシリーズ5作目は、1作目の前日譚という位置づけ。東京中央銀行大阪西支店を舞台に、融資課長・半沢直樹はどんな活躍を見せるのか。  激しい出世争いや陰謀渦巻く銀行組織で、信念を貫くバンカーの戦いぶりを描く同シリーズ。現在、放送中のドラマは3作目『ロスジェネの逆襲』と4作目『銀翼のイカロス』が原作。IT企業買収や大航空会社の再建に奮闘した半沢だが、本作は時をさかのぼり、肩書も支店融資課長という「ちっぽけな存在」に舞い戻る。  「3作目、4作目では戦う相手が大きくなる一方、銀行員目線からかけ離れてしまったことが気になっていました。国家相手に戦って何百億円の債権放棄といわれても、ピンとこない人も多いでしょう。今回は原点に戻り、中小零細企業を取引相手にする卑近な戦いを描きたいと考えました」  『アルルカンと道化師』というタイトルも意味深長だ。ずる賢い「アルルカン」と純粋な「ピエロ」はイタリアの即興喜劇の登場人物。ピカソやセザンヌも作品に取り上げたことのある人気キャラだという。  「以前手にした画集に載っていた仏画家のアンドレ・ドランの『アルルカンとピエロ』が印象に残っていて、この絵画を道具にミステリーが書けるんじゃないかという冒険心が生まれました」  大阪西支店の取引先である老舗美術系出版社に、ITベンチャーが買収を画策するところから物語が始まる。「アルルカンとピエロ」は出版社と縁のある有名画家の代表作として登場。謎解きの軸となる。  「アート」を正面から扱った展開はシリーズに新風を吹き込む一方、今回もサスペンス要素は満載だ。  1作目の連載が始まったのは平成15年だった。  「当時銀行に関するニュースは貸し渋りなどの話題が多く、小説でも悪者扱いが多かった。でも元銀行員からすると、もっと違う面もあるわけで、もう少し前向きで、面白いエンターテインメントにできるはずだと思って書いていました」  デビュー後数年間は作風について試行錯誤を繰り返していたと振り返る。  「1年のうちに違う種類の作品を何冊も出して、色んなことを試したんです。徐々にわかってきたのは、プロットで小説を動かしたら面白くないということ

続きはこちら

(2020/09/27)