新たな音楽スタイルを生み出したノラ・ジョーンズの鮮烈なデビュー作『Come Away With Me』(OKMusic)

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そもそもノラ・ジョーンズの音楽はジャズではないのだが『Come Away With Me』がリリースされた時、所属レーベルがジャズ専門の『ブルーノート』であったため、当初は新人のジャズ歌手として紹介されることが少なくなかった。今でも彼女がジャズシンガーだと思っている人は多いが、彼女の音楽は狭いひとつのジャンルでは収まりきらない幅広い資質を持っており、僕は“アメリカーナ”として捉えるべきだと考えている。彼女のソロ以外のユニットチーム(リトル・ウィリーズとプス・ン・ブーツ)は完全にアメリカーナ的なサウンドであり、カントリー音楽をベースにしてはいるがジャンルに縛られないスタイルであることからも、ノラ・ジョーンズの音楽的素養がかなり広くて深いことが分かる。 では、アメリカーナとはいったい何なのか。“アメリカーナ”とはアメリカ的なものを意味する総称として、古くから使われている言葉である。だから、“アメリカーナ音楽”と言うと、フォーク、ジャズ、R&B、ブルース、カントリーなど、アメリカで生まれたアメリカならではの音楽という意味になる。ルーツ音楽という言葉は日本でもよく聞かれるが、アメリカーナ音楽はルーツ音楽の同義語としても用いられてきたのである。 しかし、ここ最近の間に使われてきたアメリカーナ音楽というのは、そういったルーツ音楽だけを指すのではない。もちろんルーツ音楽の影響を受けているのは確かではあるが、ジャンルとジャンルの境界線近くにいるミュージシャンたち(すなわち、ジャンルの特定が難しい人たち)について使われることが多くなっているのが重要なポイントだ。 これまでの音楽で一番感触として近いのは、60年代の終わりから70年代初頭にかけて登場したカントリーロックやスワンプロックと呼ばれたスタイルだろう。ライ・クーダー、タジ・マハール、デラニー&ボニー、ザ・バンドらが持つ、白人黒人を問わずアメリカ的ルーツに根差した土臭い音楽性はまさしくアメリカーナ的なスタンスであった。もう少し例をあげるなら、ジミー・ロジャーズ、デルモア・ブラザーズ、ビル・モンロー、ゲイトマウス・ブラウン、マッド・エイカーズ、ダグ・ザーム、デルバート・マクリントンなども立派なアメリカーナである。 ただ、ここに挙げたような当時のミュージシャンとノラ・ジョーンズとを比較すると、その感性の違いは著しい。僕はパンク

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(2020/09/27)