欧米では、うつ病や末期がん患者へのLSDなどを使った幻覚剤治療が急速に再評価。日本でも検討が必要では?【橘玲の日々刻々】(ダイヤモンド・ザイ)

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 この数年で、欧米では幻覚剤(サイケデリック)の再評価(ルネサンス)が急速に進んでいる。  イギリスのテクノロジー・ジャーナリスト、ジェイミー・バートレットは『ラディカルズ 世界を塗り替える〈過激な人たち〉』(双葉社)で、世界を変えようとする「過激なひとたち」に突撃取材しているが、そのなかに「トリップ・レポート」という章がある。ここでバートレットは「幻覚剤協会(Psychedelic Society)」なる団体がオランダで主催する「幻覚剤週末体験会」に参加する。参加者は25グラムのマジックマッシュルーム(サイロシビン)を与えられ、精神を変容させる旅(トリップ)に出る。  これだけならたんなるサイケデリック・パーティだが、興味深いのは参加の動機だ。バートレットが出会ったジェイクという30代半ばのアーティストは不安神経症とうつに苦しみ、向精神薬の依存症になったが、「幻覚剤が僕の命を救ってくれた」という。LSDやサイロシビンなどの幻覚剤はいま、終末期の患者の不安をやわらげたり、うつ病や依存症の治療薬として「真っ当な」医療関係者からも大きな注目を集めているのだ。  この会ではバートレットは取材者に徹したが、その後、自らサイロシビンを体験する機会を得た。それは次のように描写されている。  じっと木々を見ていると、それがゆっくりと変化しはじめた。脈うっているように見える。まるで呼吸しているかのようだ。(中略)そして草は、前と変わらない緑色だったが、いままでに見たどの緑色よりもはるかに緑に見えた。実際、これ以上ありえないほどの緑だった。(中略)わたしは呆然と――文字どおり口をぽかんと開けたまま――その場に立ちつくし、あのものすごい、呼吸する木々を見つめることの他にはこの世で何一つやりたいことはなかった。(中略)無であることに満ち足りた気持ち、何も考えることないのがうれしいという感覚だけがあった。(中略)わたしはそこにいると同時に、そこにいなかった。  幻覚剤はイギリスでは違法だが、オランダはマジックマッシュルームを乾燥させたものなら合法だ。そこで、訓練されたインストラクターがこのような「幻覚体験」を誘導するイベントが開催され、そこにヨーロッパじゅうから「治療」を求めるひとたちがやってくるのだという。  これを読んで社会現象としての幻覚剤に興味を持ったのだが、それがどの

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(2020/09/24)