全国学力テストは問題点だらけ――目先ではなく、10年先を考えよ(中央公論)

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「全国学力・学習状況調査」(以下、全国学力テスト)が二〇〇七年に再開され、すでに一〇年を超える月日が流れました。毎年八月頃になると都道府県別の平均点が公表され、その順位が報道されるので、教育にそれほど関心がなくても全国学力テストの存在は知っている方が多いと思います。本稿では、現行の全国学力テストの問題点とその改善策について論じます。  文部科学省によれば、全国学力テストは大きく二つの目標を持っています。一つは国の教育政策に活かすという側面です。全国の児童生徒の学習状況を国がモニターし、教育政策に活かすための基礎資料とするというものです。EBPM(Evidence Based Policy Making: 証拠に基づく政策立案)の重要性が叫ばれる昨今、教育分野でも、こうした「政策のためのテスト」が必要だということは、多くの人が納得すると思います。もう一つは、個々の学校の指導に役立てるという側面です。そこには、せっかく数十億円もの予算をかけて学力テストをするのだから、その成果を調査に参加した一人一人の子どもに還元できる「指導のためのテスト」として役立ててほしいという思いがあるようです。  この二つの目標を同時に達成するために選択された調査法が、毎年度、すべての小学六年生と中学三年生を対象に、学力テストを実施するという方法です。そこにはおよそ次のような発想があります。まず、子どもたちの学習成果を知るためには、その総まとめである小学六年生、中学三年生の学力を把握すれば十分である。一人一人の子どもの点数がわかれば、テストを指導のために活かすことができる。そして、子どもの点数を学校ごと、あるいは自治体ごとに平均していけば、個々の学校・自治体の課題もわかるだろう。現行の全国学力テストの背後には、このようなある意味でシンプルな発想があります。  こうした一人一人の子どもの点数を学校(あるいは自治体)ごとに平均すれば、その学校(自治体)の課題がわかるに違いないという考え方は、全国学力テストに関わる議論でも、しばしば目にします。各自治体(学校)がわずかでも平均点を上げようと必死になって努力しているのも、自治体(学校)の平均点が、その自治体(学校)の学校・教員の質を示しているに違いないと思われているからです。全国学力テストの点数が振るわないことを問題視し学校ごとの点数を公表すべきだ

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(2020/09/24)