内村、注目のH難度で停滞 「悔しいのが8割」試合勘つかめず(産経新聞)
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注目のH難度「ブレトシュナイダー」で内村が宙に舞った。落下を避けたい気持ちが強く、体が鉄棒に寄ってしまう。なんとかバーはつかんだものの、肘が曲がり、動きが停滞した。
Dスコア(演技価値点)6・6、Eスコア(実施点)7・600の14・200で全体6位。演技を終えるとすぐ、何が良くなかったか探るように右手を動かしながら演技を頭の中で反芻(はんすう)した。
「『悔しい』というのが8割。あと1割は『どうしてなんだろう?』。もう1割は『しようがないか』」
「しようがない」と思ってしまうのは、まだ試合勘がつかめていないからだ。鉄棒だけに絞って大会に臨んだのは初めて。「一つだけに向かう気持ちが、まだ分かってなかったかな」という。「本来なら最初から(全6種目をこなす)みんなと同じ空気を吸ってやっているはずなのに、と。若干、むなしかった」。そもそも試合自体が実に約13カ月ぶりだ。「良く分からないような空間に放り込まれた感覚があった」。百戦錬磨の31歳も戸惑っていた。
出番前、今大会の鉄棒で15・366点をたたき出した宮地に「僕はブレトシュナイダーを初めて使ったとき、落ちました」と声を掛けられたという。内村は「プレッシャーを掛けられて。僕は落ちなかったので良かったかな。前向きに捉えます」と自分に言い聞かせるように語って、笑った。
東京五輪を目指すリスタートは、ほろ苦く、スペシャリストへの転身の奥深さをうかがわせるものだった。(宝田将志)