事件の再発を防ぐために必要なことは? 名古屋闇サイト殺人事件の深層を映画化した『おかえり ただいま』齊藤潤一監督に聞く(HARBOR BUSINESS Online)

【リンク先抜粋】
――『おかえり ただいま』は、2009年に放送された犯罪被害者遺族を追った『罪と罰~娘を奪われた母 弟を失った兄 息子を殺された父』の撮影時に描けなかった、被害者である磯谷利恵さんと母親の富美子さんの「家族の物語」を描きたいと思ったことがきっかけで制作を開始したとのことでしたね。 齊藤:事件取材は、事件発生後からしか取材はできません。非常に残虐な形で犯人たちに手を掛けられ、この世を去らなくてはならなかった利恵さんのことも、亡くなられた後にお母さまの富美子さんから聞くしかなかったんですね。  『罪と罰』は犯罪被害者の方々3人の姿を描きましたが、すべてを描き切れなかったという思いが強かったんです。テレビ番組は時間が限られていることもあり、利恵さんの事件については犯人を死刑にして欲しいと署名活動をしていた富美子さんの姿を中心に取り上げました。しかし、それだけでは富美子さんの無念や事件の残忍さは伝わらないと感じたんですね。母と娘の生前の物語や事件発生までの過程についてはいつか描きたいと思っていました。 ――この作品はドラマの部分もありますね。 齊藤:先程申し上げた通り、過去の事件は取材ができないので描くのが難しいんです。写真やイメージ映像ではどうしても限界がある。そこで、思い切ってドラマを作ることにしました。  キャスティングについては、ちょうどその頃、是枝裕和監督の『3度目の殺人』(17)を見ていて、斉藤由貴さんの被害者の遺族役の演技が印象に残っていました。また、斉藤さんご自身もお嬢さんがいらっしゃるので富美子さんの気持ちがわかると思ったんです。そこで、母親役は斉藤さんにお願いしました。自分はドキュメンタリーのディレクターなので、斉藤さんにはほとんど演技指導せず、台本の意図などを説明しただけでしたが、思い通りの演技をして頂きました。  利恵さん役の佐津川愛美さんは、知的で活発なイメージが囲碁が好きだった利恵さんと重なると思ってオファーしました。  利恵さんの叔母さんの役については、同じく東海テレビのドキュメンタリーシリーズ『約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~』(12)に出演していた樹木希林さんに紹介してもらいました。食事の席で企画を話したところ、役にぴったりだということで、その場で浅田美代子さんに電話をして下さり、そこで決まりました。

続きはこちら

(2020/09/22)