【解説】 フィンセン文書、何が分かり何が問題なのか(BBC News)
【リンク先抜粋】
世界の大手金融機関が、総額2兆ドルもの不正資金のマネーロンダリング(資金洗浄)を野放しにしていたことが、米当局から流出した「フィンセン(FinCEN)文書」で明らかになった。
フィンセン文書ではこのほか、ロシアの富豪が制裁を逃れて西側諸国と取引をするために金融機関を利用していた実態も分かっている。
過去5年間で流出したさまざまな文書が明かした秘密取引や資金洗浄、金融犯罪について解説する。
■「フィンセン文書」とは
「フィンセン文書」は2500件以上のファイルから成る。大部分が2000~2017年に米金融当局に送られたもので、顧客の不審な動きなどを報告している。
こうした内容は、国際的な金融機関などが最も厳格に守り、秘密にしているものだ。
金融機関はこれらの文書で疑わしい取引を報告しているが、文書そのものが犯罪や過失を証明するものではない。
フィンセン文書はまずバズフィード・ニュースが入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に共有され、分析が始まった。この分析には世界88カ国108の報道機関が関わり、BBCの報道番組「パノラマ」も参加した。
何百人ものジャーナリストが難解で技術的な文書を読み解き、金融機関が世間に知られたくないだろう内容を明らかにした。
■フィンセンとは? SARとは?
ここで、フィンセン文書にまつわる2つの略語を紹介する。
まず「フィンセン」とは、アメリカ財務省の金融犯罪取締ネットワーク(Financial Crimes Enforcement Network)を意味する。米ドル・ベースの不審な取引については、アメリカ国外でのものであってもフィンセンへの報告が義務付けられている。
SAR(不審行為報告書)は、こうした不審な取引を記録した文書を指す。金融機関は顧客が不審な動きをしていた場合にSARを作成し、当局に報告する。
フィンセン文書に含まれる2657件の文書のうち、2121件がSARだった。
■なぜ問題なのか
犯罪行為から利益を得ようとした場合、最も重要なのはどこで資金を洗浄するかという選択だ。
資金洗浄とは、薬物取引や汚職などの犯罪行為で得た金銭を、犯罪とのつながりのない銀行口座に入れることで出所を特定させなくする行為を指す。
同様の手口は、ロシアの富豪が制裁をくぐり抜けて資金を西洋諸国に移す