投手の肩は消耗品 ボビーが求めたメジャー流の「ブルペン調整」【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【小林雅英 ブルペンから走り続けた13年】#4 「地球の裏側にもうひとつの野球があった」と言ったのはボブ・ホーナーですが、ボビー・バレンタイン監督(70)が日本で「異質」と感じたひとつは投手の投げ込みだったようです。 ■ベンチから電話があるまで投球練習はNG  メジャーではリリーフが投球練習を始めるのは、ブルペンに投手交代の電話が入ってからです。そもそもメジャーでは投手の肩は消耗品という考え方が浸透しています。そうした事情と、もともとのタフさもあって、ほんの4、5球程度の投げ込みで肩をつくってしまいます。  ボビーはそれを日本でもやりたかったようで、「メジャーのような準備の仕方をしよう」と提案してきました。  リリーフ陣の中には「試しにそれでやってみよう」という投手もいたし、「監督がそう言うなら」と従う者もいました。でも、僕を含めて大半の選手はブルペン投球の時間が減ることが不安でした。  実は僕もブルペン投球の球数は少ない方。クローザーだったので出番は主に九回です。登板するかどうかは、その直前のイニングに入った時点で告げられます。「マサ、いくよ」と言われたら、ブルペン捕手と山なりのキャッチボール。1アウトになったら捕手を座らせて、軽く投げる。2アウトで少し力を入れる。チェンジになったら、仕上げの2球くらい。僕は直球、シュート、スライダーの3つで勝負していたので、それぞれ3球ずつ。ブルペンでは計9球を投げるだけです。あとはアンダーシャツを替えてマウンドに向かい、5球くらい投げれば万全でした。  そんな僕でも、さすがに電話を受けてから5球で肩をつくるのは難しいし、何よりもこれまでやってきたルーティンを崩したくなかった。30球、40球も投げないと肩をつくれない投手にすれば、なおさらです。  そうしたことをボビーに訴えると、「それなら仕方ない」と、すぐに理解してくれました。メジャー流をやりたいけど、それを押し付けず、日本流も尊重する。そうした柔軟性があったからこそ、ナインもボビーを信頼して付いていったのかもしれません。  次回は「チェンジアップ習得拒否」です。これは僕がプロでは唯一、シュートとスライダー以外の変化球を実戦で投げた話でもあります。 (小林雅英/元プロ野球投手)

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(2020/09/18)