世代交替は為されるのか?──【連載】F1グランプリを読む(GQ JAPAN)

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F1グランプリ第4戦イギリスGPからスペインGPまでの3連戦が終了して1週の休みをはさみ、再び3連戦が始まった。スパ・フランコルシャン(ベルギーGP)、モンツァ(イタリアGP)、ムジェロ(トスカーナGP)の超過密スケジュールだ。ヨーロッパ内で移動距離はそれほど長くはないが、そうは言っても数千キロはある。転戦を続ける人達の表情にも少しずつ疲労の色が見え始めたが、それでもレースは続く。 ハミルトン、89勝でシューマッハにあと2勝と迫る 8月30日に行われたベルギーGPは、メルセデスベンツのルイス・ハミルトンが優勝、チームメイトのバルテリ・ボッタスが2位に入った。会場になったスパのコースは長い直線が特徴で、F1マシンにはそれほど大きなダウンフォースは要求されない。これまで最強を誇ってきたメルセデスの強大なダウンフォースは長い直線では邪魔になるのでは、とさえ言われた。しかし、蓋を開けると2台のメルセデスは圧倒的な速さを発揮、予選も決勝レースも席巻してしまった。強大な馬力を誇るエンジンが後押しするのだ。3位に入ったマックス・フェルスタッペンのレッドブルのダウンフォースも決して少なくはないが、彼ら以外のドライバーは自分達の乗るF1マシンの(ダウンフォースが少ないというスパに於ける)長所を完全に否定されて愕然とするばかりだった。ただ、ダニエル・リカルドとエステバン・オコンのルノーは終盤、トップ3に急迫するスピードを見せ、4位、5位に食い込んだ。ルノーは時に急変する。 ダウンフォースの多寡はコーナーの速さに影響を与えるほか、タイヤの磨耗にも大きな影響を及ぼす。現代のレースはタイヤにコントロールされているといっても過言ではなく、クルマのセッティングはタイヤの性能をどこまで引き出し、寿命をどこまで延ばすことが出来るかという点に絞られている。トップを走った3人もタイヤの性能が落ちてきた終盤にはラップタイムが僅かに低下したが、それは彼らがタイヤを労って走ろうとして速度を落とした結果だった。裏を返せば、トップ・ドライバーはそうやってタイヤの寿命をコントロール出来るということでもある。特にハミルトンのタイヤに対するコントロール能力は群を抜く。そのハミルトンはこのベルギーで89勝目を挙げ、ミハエル・シューマッハの持つ史上最多記録91勝にあと2勝と迫った。

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(2020/09/14)