【「欲望の翼」評論】独特なスタイルで香港トップスター6人の魅力を焼き付けた奇跡的な群像劇(映画.com)

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 [映画.com ニュース] 新型コロナウイルスの影響により、多くの新作映画が公開延期となり、映画ファンの鑑賞機会は減るばかりです。映画.comでは、「映画.comオールタイム・ベスト」(https://eiga.com/alltime-best/)に選ばれた、ネットですぐ見られる作品の評論をお届けいたします。今回は「欲望の翼」です。 「映画.com ALLTIME BEST」一覧  むせ返るような夏がやってくると必ず思い出す映画がある。30年前の映画だが、いまだに色褪せることはなく、むしろ輝きを増していると言っていい。その映画の登場は衝撃的だった。それまで見ていた香港映画のイメージを覆し、新しい感性を持った才能が現れ、新世代の香港映画の誕生を世界に知らしめたのだ。そして、俳優たちの美しさを永遠にフィルムに焼き付けた作品としても語り継がれるべき傑作である。  「今夜、夢で会おう」「1960年4月16日、3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない」こんなキザなセリフから始まる「欲望の翼」(1990)は、デビュー作「いますぐ抱きしめたい」(1988)に続くウォン・カーウァイ監督の長編第2作。1960年代の香港を舞台に、若者たちが織り成す恋愛模様を描いた青春群像劇だ。レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、アンディ・ラウ、ジャッキー・チュン、そしてトニー・レオンという当時の香港映画界を代表するトップスター6人が競演し、「あの時にしか生まれ得なかった」と言われるほどの奇跡的な映画。第10回香港電影金像奨で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞(レスリー・チャン)などを受賞している。  冒頭、タイトルとともに熱帯雨林がゆっくりと映し出され、じっとりとした高温多湿な雰囲気が作品全体を覆う。脚本も手がけたカーウァイ監督は、時間や数字へのこだわりをみせ、文学的なセリフと構成、モノローグを多用した語り口が特徴だ。さらに撮影監督クリストファー・ドイルのスタイリッシュな映像美とカメラワーク、ウィリアム・チャンの美術、そして印象的なラテン音楽が融合し、カンフー映画やノワール映画では見たことのない、独特なスタイルを提示。映画からはその“熱気”が伝わってくる。  大きなかけ時計、にじむ汗と肌に張り付くシャツ、鏡、官能的な曲線美、電話ボックス、ハイヒールを履いた女性の

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(2020/09/06)