日本の「マジックファイバー」で重油流出からモーリシャスの海を救う~その技術的背景(LIMO)

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創業間もない東京の化学繊維企業エム・テックス社が開発した、商品名「MAGIC FIBER(マジックファイバー)」が今、注目を浴びています。これはナノファイバー製自己膨潤型高吸油性ポリマーで、素材は身の回りで多く使われているポリプロピレン※です。 ※ポリプロピレンの製法はポリエチレンの合成と同じです。具体的には次の記事をご参照ください。 『レジ袋有料化施策に意味はある?  プラごみ削減と環境意識の向上につながるのか』 ナノファイバー(後述)を造る方法はいくつかありますが、電界紡糸が中心的製造方法でした。この方法は、高電圧をかけて製造するため生産の際に爆発事故等の危険を伴うこと、コストがかかり大量生産が不可能であることから、商品化には辿り着きませんでした。 しかし、エム・テックス社は、従来の製造法にとらわれないで、ポリプロピレンを熱で溶融し液体化し、空気と混ぜてナノファイバーの繊維を作る新製造法を見出し量産化に成功しています。 このマジックファイバーは、水を全く吸収せず、1枚20gという軽量でありながら、約1ℓ(自重の約50倍)の油のみを吸収します。従来のナノファイバー油吸着材に比べ、約5倍以上の量の油を吸収するのです。しかも、油を吸った後に持ち上げても、マジックファイバーが油を保持するため垂れてくることはありません。 こうした特徴から、油の処理に困っている食品加工工場、金属加工工場、製油工場、機械製造工場や飲食店、ホテルなどから注目されています。 2019年8月に発生した九州地方の豪雨では、佐賀県大町町で浸水した鉄工所から大量の油が漏れ出しました。その除去のために、エム・テックス社は約19万枚のマジックファイバーを自治体に寄付、水害の復旧に寄与したことは記憶に新しいところです。 今回のモーリシャス沖の事故を受けて、エム・テックス社はJICA(国際協力機構)に30センチメートル四方のシート約1200枚を寄付。さらに、クラウドファンディングでの購入支援(募集期間終了)のほか、「モーリシャス緊急支援プロジェクト」を実施しています。 人間によって、いったん汚染破壊された自然を修復するのには困難を伴いますが、油で汚れたモーリシャスの海が、日本で開発されたマジックファイバーによって再び美しい海に戻ることを祈ります。

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(2020/09/06)