【数奇なフランス・グランプリ】デューセンバーグに破れたバッロ 3/8 LC 後編(AUTOCAR JAPAN)
【リンク先抜粋】
text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
アーネスト・ヘンリーが生んだ、スムーズなエンジン。露出したタイヤから巻き上がる土埃。バッロ・チームと、ライバルとの戦いに強く惹かれてしまう。
【写真】バッロ 3/8 LC (22枚)
今回ご紹介するシャシー番号1006のバッロ 3/8 LCは、フランス人レーサー、ジャン・シャサーニュのクルマだったと考えられている。ガソリンタンクが破損するまで、1921年のフランス・グランプリをリードしたドライバーだ。
グランプリの翌日、40歳を迎えた彼は、バッロ最年長のドライバーだった。航空機や潜水艦、レーシングカーなど、様々なマシンの操縦経験を有し、エンジニアとしての知識も豊富だった。
シャサーニュがレースを初めたのは1906年。バッロの先進的なデザインと、秀でた性能を高く評価していた。しかしベテランドライバーでさえ、1921年のフランス・グランプリの過酷さは想像できなかっただろう。ラリーステージのようだったはず。
バッロ製レーシングマシンの評価は間違いないが、特に3/8 LCは最高傑作と呼べる1台。「はるかに洗練され、操縦性も素晴らしい。シャシーがどんな状態にあるのか、しっかり伝えてくれます」。と別の3/8 LCオーナー、ウィンガードは話している。
「パワーは漸進的に高まり、軽量化にも配慮されたエンジンは、4000rpmまで軽快に回ります。ステアリングの重み付けは素晴らしく、ダイレクト。でも、トランスミッションはクセモノです」
「正確な操作が求められます。コーンクラッチの扱いも」。ラグナセカ・サーキットのコークスクリュー・コーナーを、バッロで走った経験を持つ人物だ。