安倍政権の検証(1) 日本の民主政治を変質させた責任を問う/中野晃一氏(上智大学国際教養学部教授)(ビデオニュース・ドットコム)

【リンク先抜粋】
(↑画像をクリックすると動画が再生されます。)  憲政史上最長の政権となった安倍政権が終わろうとしている。  約5年半続いた小泉内閣の後、自民党は安倍、福田、麻生と1年前後しか持たない不安定な政権が3代続き、2009年には政権政党の座から転落した。しかし、2012年に捲土重来、安倍晋三総裁の下、政権の奪還に成功し、そこから7年と8ヶ月の長きにわたる安定政権を維持してきた。安倍政権前半はアベノミクスを前面に押し出すことで経済的な安定を確保した上で、特定秘密保護法、集団的自衛権の行使を可能にする安保法制、共謀罪など、歴代政権がたびたび挑戦しては挫折してきた大きな政策課題に積極的に取り組み、足並みの揃わない野党にも助けられ、これをことごとくクリアしてきた。特に上記の3つはいずれもアメリカの意向を強く反映したものだった。  その一方で、政権の後半はこれといった成果もあげられず、次々と噴出するスキャンダルで立ち往生する場面が多かった。政権としては憲法改正という大きな課題を前面に押し出すことで、なんとか推進力を得ようと務めたが、相次ぐ閣僚の失言や不祥事、辞任や、統計偽装、森友・加計学園問題や桜を見る会、検察官の定年延長問題など、常に政権の足下がぐらついている状態が続いた。  そうした中で、日本が新型コロナウイルス感染症に見舞われると、PCR検査の「目詰まり」やアベノマスク、星野源の「うちで踊ろう」ビデオ、利権丸出しのゴートゥー・トラベルなど、安倍政権は多くの国民の嘲笑を誘うような稚拙な施策ばかりを打ち出す結果となり、最後は健康問題から辞任に追い込まれるという、「歴代最長政権」と呼ぶにはあまりにお粗末な最後を迎えることとなった。  しかし、日本が25年に及ぶ政治や行政の制度改革を通じていわゆる「官邸主導」体制の構築を進めた結果、常にお家騒動が絶えなかった野党の体たらくに助けられ、安倍政権は7年余にわたり「一強」状態を享受することができた。そして、その絶大な権限を使い、安倍政権はこれまで日本の政治で不文律とされてきた様々な政治文化をことごとく破壊してしまった。  また、安倍政権の下では、政治とメディアの関係も大きく変質した。元々、新聞、テレビ、通信者など記者クラブに所属する既存メディアは政府から多くの特権を与えられ、それを当然のように享受してきたが、過去の政権はさすがに

続きはこちら

(2020/09/05)