中国外交に不確定要素 日中「1強」同士の改善不透明に(産経新聞)
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【武漢=西見由章】安倍晋三首相が辞任を表明したことで、対米関係が深刻に悪化している中国の習近平指導部は新たな外交上の不確定要素を抱えることになりそうだ。
2012年12月に第2次政権が発足した安倍首相と、習国家主席(共産党総書記)の任期はほぼ同時にスタートした。当時は同年9月に民主党政権が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化に踏み切り、反発した中国側が全土で官製デモを展開するなど日中関係は国交正常化以来最悪ともいえる状況だった。中国の公式メディアは就任間もない安倍首相を「極右政治家」とも決めつけた。
実際、日米同盟や台湾との関係を重視する安倍首相は、中国側にとって決して都合のよい存在だったわけではない。ただ17年に発足したトランプ米政権との関係悪化が進む中、国内的に権力基盤を確立した習氏は、国民の高い支持率を背景に「1強」体制を築いた安倍首相とともに関係改善に向け指導力を発揮。18年10月には安倍首相が日本の首相として7年ぶりに公式訪中するなど日中間の雪解けを進めてきた。
中国側が総仕上げとして準備してきた習氏の国賓訪日が新型コロナウイルスの感染拡大で宙に浮く中、安倍首相の辞任発表で中国の対日外交は見直しを迫られることになる。
北京の大学教授は「安倍1強体制が中日関係の回復を可能にした。(辞任の)影響は非常に大きいだろう」と指摘。「特に現在の非常に複雑な外交環境において、中国側は楽観していない」とした。
「実際の外交にもマイナスの影響が出るだろう」と予測するのは中国人ジャーナリストだ。「中国側は安倍首相と価値観は違っても相互理解はできていた。中米関係が悪化している中、中日関係にも不安定要素が生じる」と懸念する。