海外立て直し、デジタル活用新リテールなど急務 伊藤忠ファミマTOB成立(産経新聞)

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 ファミリーマートとの一体経営を目指してきた伊藤忠商事は、今回の株式追加取得のTOB(株式公開買い付け)成立で第1のハードルを越えた。ファミマの海外事業の立て直し、国内事業の強化に加え、デジタル技術活用による次世代型のリテール事業構築が急務だ。伊藤忠は上場廃止に向け、TOBに応じなかった投資ファンドなどからも株式を買い付ける必要があり、総投資額は約5800億円にのぼる見込み。巨額投資に見合う成果を出せるかが次のハードルとなる。  ファミマのアジアでの事業は苦戦している。タイでは合弁会社の出資の引き揚げを余儀なくされ、中国では合弁パートナーとの訴訟が続く。一方、伊藤忠はタイのチャロン・ポカパン(CP)グループ、中国の中国中信集団(CITIC)といった、有力企業との戦略的なパートナー関係を軸に事業を拡大し、アジアに基盤を築いている。  タイに関してはCPがセブン-イレブンのフランチャイズ権を取得しているという難しさはあるが、中国ではCITICとの連携でコンビニ事業の立て直しを進めるとみられる。  同時に、国内事業の立て直しも必要だ。サークルKサンクスなどとの経営統合で規模では業界2位になったが、1日あたりの1店舗売上高では国内首位のセブンとの差は一向に埋まっていない。統合による拡大を優先させ、魅力ある店舗づくりや商品開発が後手に回ったためだ。上場廃止が実現すれば令和2年2月期で約200億円あった配当金を店舗改装などの投資に活用することもできる。  さらに伊藤忠は今後の主力戦略として掲げるデジタルトランスフォーメーション(DX)を、ファミマを中心としたリテール事業で本格展開する考えだ。1日1500万人が来店するファミマの顧客情報などをベースに、デジタルを活用したマーケティングや商品開発、さらには国際的な調達などのグループ機能を組み合わせることを狙う。  ただし伊藤忠が目指す次世代型リテール事業はこれまでにない事業モデルとなる。一体経営による意思決定の迅速化を早期に実現できるかが最大の課題だ。(平尾孝、日野稚子)

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(2020/08/25)