悪役をメジャーにした男「八名信夫」--85歳を迎えた今、半生を振り返る(GetNavi web)

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──84歳(取材時)とは思えないくらいお若いですね。背筋がビシッと伸びていますし、活舌も滑らかですし。 八名 いや~、それでも立ち回りの動きは鈍くなるよ。同じ年くらいの人が歩いている姿を見ると「いかにも老人です」って感じでヨボヨボしているから、ああはなりたくないなと思うけどさ。やっぱり僕らは人に見られる立場の職業だから。そうやって気を張っていることが結果的には健康に繋がっているのかもね。 ──今回は若いころの話からたっぷりお話を伺えたらと考えております。八名さんは1935年生まれということで、世代的には戦争も経験されていますよね。 八名 うん、そうね。もともと俺は岡山市出身なんだ。ところが9歳のときに岡山市は大空襲に遭ってね。それで同じく岡山県にある平島ってところに疎開することになったの。 ──岡山市も空襲は激しかったんですね。 八名 岡山市というのは大阪や広島のような大都市ではないけど、それでも当時で人口16万人くらいはあったと思う。うちの親父は岡山駅の助役で、岡山駅前に官舎があった。うちの家族はそこに住んでいたわけね。ところが空襲というのは基本的に駅を狙ってくるから、官舎なんて一網打尽ですよ。B29のすさまじい音が聞こえてきて、煙がもうもうと巻き上がって……。それで親父が「防空壕には入るな!」って叫んだんだ。 ──「防空壕に入れ!」ではなく? 八名 それが違ったんだ。結局、防空壕に入った人たちの多くは亡くなってしまったらしい。たしかに通常の爆弾の場合は防空壕に入ると安全なんだけど、炎が上がる焼夷弾のときは逆に危険に冒されてしまう。親父は鉄道関係者ということで、大阪をはじめとした被災地の実態を聞いているわけです。うちは畳をめくると防空壕があったんだけど、そこに入るのではなく、外へ逃げることになった。 ところが表に出て待っていたのは、それこそ地獄のような光景。真っ黒で道も見えなくて、まるで煙突の中にいるみたいだった。そしてそのとき、家の前には同級生の女の子が倒れていた。その子は苦しんでいて、身体からは蒸気が上がっていた。普通の感覚だったら、まずはその子を助けるわな。ところがこっちも余裕が一切ないものだから、その子を踏み越えて逃げていったんだ。 ──極限状態だったと。 八名 その同級生以外も、そこら中に人が倒れているような状況だったよ。それでも助け

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(2020/08/24)