ナイツ・テイルと帝劇 ミュージカルの力(井上芳雄)(NIKKEI STYLE)

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井上芳雄です。8月はミュージカルの曲をコンサート形式で歌う舞台が続いています。東京芸術劇場と東京オペラシティでの『ミュージカル「ナイツ・テイル」in シンフォニックコンサート』と帝国劇場での『THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE』(以下、帝劇ミュージカル・コンサート)です。ようやく舞台が再開した今、劇場が音に包まれる喜びや高揚感を感じながら、あらためてミュージカルや音楽の力をかみしめています。 2つの公演はもともと今年の夏に予定されていました。でもコロナ禍で実現するかどうか分からなかったし、配信だけになる可能性もありました。そんななかで奇跡的に2つとも幕を開けられて、ありがたい限りです。一方で新型コロナウイルスの感染者が増え、演劇公演の中止も起こっているので、「いつどうなっても、動じないように」と覚悟しながらの毎日です。 『ミュージカル「ナイツ・テイル」in シンフォニックコンサート』は、2018年に初演して、来年再演を予定しているミュージカル『ナイツ・テイル-騎士物語-』のコンサート版。東京フィルハーモニー交響楽団の演奏をバックに、初演の主要キャスト7人が劇中の歌を歌いました。舞台には、僕たち、東京フィル、和楽器と普通のバンド、コーラスの方々と、けっこうな人数がいたのですが、それぞれ間隔を空けたりアクリル板で仕切ったりして、飛沫防止を徹底しました。全員がPCR検査を受けて陰性を確認し、舞台裏には検査を受けた人しか出入りできません。感染防止に細心の注意を払っていましたが、それでも最後まで何があるか分からないと皆思っていたので、初日に幕が開いたときは感無量でした。 僕は7月に日比谷シアタークリエで『SHOW-ISMS』の公演を経験していたので、お客さまがいる光景をすでに見ていましたが、東京芸術劇場の大ホールで、客席の半分とはいえ大勢のお客さまの前に立つのは、中劇場のクリエとは違った緊張感がありました。そしてオーケストラが奏でる音に包まれたとき、涙がにじんでしまいました。実際に会場にいて、その瞬間に演奏しているからこそ、音に包まれながら歌える。今それができるのは、本当にぜいたくなことだし、生音の豊かさはリモートでは味わえないものでした。 ミュージカルのコンサート版というと、ただ歌をつないでいったり、ストーリーテラーが話を

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(2020/08/23)