作家・森見登美彦、底抜けに愉快な青春賛歌を紡ぐ 『四畳半神話大系』にはモデルも実在!? 約16年ぶりに続編刊行(夕刊フジ)
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日本を代表する“青春ファンタジーノベルの旗手”が、新作「四畳半タイムマシンブルース」を刊行した。
「舞台を活字で小説にしたらどうなるか…。このアプローチは作家として初めての経験でした」
山本周五郎賞を受賞した「夜は短し歩けよ乙女」や、日本SF大賞受賞作「ペンギン・ハイウェイ」のアニメ映画化が相次ぎ、「次に何を書くのか」と今、最も注目される売れっ子作家の一人だ。
新作は、京都のアパート「下鴨幽水荘」の四畳半で暮らす京都大学の男子学生を主人公にした小説「四畳半神話大系」の続編。約16年ぶりとなる。
小説「夜は短し-」と「ペンギン-」のアニメ映画化の際、脚本を担当したのが、京都を拠点とする人気劇団「ヨーロッパ企画」を主宰する劇作家の上田誠だった。
「新作の原案は上田さん。お世話になりっ放しだったので、今度は私が上田さんの舞台『サマータイムマシン・ブルース』を小説にして恩返ししたかった」と説明する。
故郷の奈良で高校まで過ごし、京都大学へ進学。「京都のアパートを借りました。もちろん四畳半一間でした」と笑う。
「作家になろう」と決意したのは小学3年生の頃。「級友の送別会のために、クラスの仲間で紙芝居を披露したのですが、その原作を書いたのが私でした」。以来、創作の魅力に開眼し、中高時代もずっと小説を書き続けてきた。
京大農学部から大学院へ。理系を選んだのは、「祖父も父も理系のエンジニア。ずっと作家を目指していましたが、せめて大学は理系に進み両親を安心させたかった」と苦笑した。
大学院時代に、小説「太陽の塔」が日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、2003年、念願の作家デビューを果たす。
大学院修了後は国立国会図書館に就職。兼業作家として執筆活動を続けていたが、「連載が増え、二足のわらじが体力的にもしんどくなって…」と10年、図書館を辞め、専業作家として独立した。
「兼業時代は毎日、図書館から帰宅後、数時間寝てから深夜に執筆していたのですが、睡眠時間もとれなくなりました」
専念すれば書けるはず。こう覚悟して辞めたが、「現実は思った通りにはいかず、行きづまり、まったく書けなくなってしまって」と打ち明ける。
翌年、すべての連載を中断し、東京から故郷の奈良へ戻った。「書けなくなったので、ひたすら日記を書いていました」と振り返る。