“マリコ・タマキ”って誰? 北米漫画界を前に進めるクィア・パワー:『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』(GQ JAPAN)

【リンク先抜粋】
前回、「いま面白い作品がたくさん生まれているに違いないのに情報収集が追いつかない分野のひとつ」としてエッセイ漫画のお話をしましたが、同じことが言えるのが海外コミックです。グラフィックノベル、バンドデシネ、アメコミなど、世界各地で漫画文化が成熟し、さまざまなスタイルの優れた作品が続々出てきているけれど、やはり言葉の壁は高く分厚い。そんな時にユニークな海外作品を翻訳して日本に紹介してくれる版元は、やっぱりありがたい存在です。 そのひとつである小学館集英社プロダクションが、先日、バットマンやスーパーマンなどの人気キャラクターを擁するDCコミックスの新レーベル「GN COLLECTION」を立ち上げました。これはヒーローやヴィランたちのメインのストーリーライン(“正史”)とは別に、人気グラフィックノベル作家を起用したヤングアダルト向けの読み切り作品を紹介していくシリーズなのだそうです。人気作品のキャラクターを借りた4コマギャグやパラレルワールドもの、あるいはオリジナルとは別の作家による続編やスピンオフを出版社がオフィシャルに出す「公式2次創作」みたいな展開、日本では年々増えていく一方ですが、アメリカにも似たような流れがあるのですね。 さて、今回はこのレーベルの第1弾として6月に刊行された『ハーレイ・クイン:ガールズ・レボリューション』を力いっぱいおすすめしたいと思います。ヒーローもののアメコミはあまり読んでこなかったけれど、映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』も楽しかったし、あのマリコ・タマキ先生だし、と手に取ってみたら、これが思いがけず最高の“デヴィッド・ボウイ漫画”で、さめざめと泣いた後にたいへん爽やかな気分になることができました。作中でボウイの曲が流れるというだけにとどまらず、全体から彼の歌声が響いてくるような……。ボウイが好きな人と最近のアメリカの青春映画を楽しめる人にぜひとも読んでいただきたい逸品です。

続きはこちら

(2020/08/08)