箱車、大五郎カット…斬新アイデアで時代劇の金字塔「子連れ狼」 小池一夫「名作伝説」(夕刊フジ)

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 【小池一夫「名作伝説」】  数々の名作を残し、昨年4月に死去した作家・劇画原作者、小池一夫さん。さまざまな機会に教えを受けた筆者が小池時代劇の魅力を紹介する。  小池時代劇の金字塔が「子連れ狼」シリーズ。映画では若山富三郎、田村正和、ドラマでは高橋英樹、北大路欣也も演じているが、テレビで一大ブームを巻き起こしたのは、1973年から76年に3シリーズが製作された萬屋錦之介主演版だ。  元公儀介錯人の拝一刀(錦之介)が、柳生烈堂率いる裏柳生(柳生一族の中で暗殺など汚れ仕事を請け負う面々)に妻を殺され、身分も奪われ、「一殺し五百両」の刺客となって3歳の大五郎を箱車に乗せて壮絶な復讐の旅を続ける物語。道で一休みしているおばあさんが、突如「おのれ! 子連れ狼!」と襲いかかってくるなど、365日24時間、いつ裏柳生に狙われるかわからない。そんなとき、一刀は、箱車の手すり部分をはずしてやりにして応戦。飛び道具に狙われたなら、ひっくり返して鉄板補強(!)した車の底を楯にする。反撃は仕込んでおいた数列の連発銃をダダダと連射。箱車がマシンガンに!! 荒唐無稽な場面もあるが、毎回、すごい敵に立ち向かう父子から目が離せない。  この原作の誕生もまた、実にドラマチック。新人時代、なかなかいいものが書けなかった小池さんに編集長が「時代劇好きでしょう」と時代劇がとてもうまい小島剛夕さんを紹介した。剣豪の浪人の主人公に子供がいたら弱点になるし、戦いはハラハラして面白いのではというアイデアを剛夕さんに話したところ、「面白い」といつも持っている筆でするするとイメージを描いてくれたという。前髪とちょこんと結んだ特徴ある大五郎の髪形もその場で決定。初対面で「子連れ狼」の原型はできあがったのだ。箱車が江戸時代にあったかは定かではないが、あったことにしようと2人で決めたらしい。  1本の筆を口にくわえながら、2本の筆を使い分けて、見事な画を仕上げていく剛夕さんを「雪舟のようだった」と語った小池さんの笑顔が思い出される。2人は名コンビとして「乾いて候」など多くの作品を手がけたが、実際に顔を合わせるのは年に数回ほど。それほど息がぴったりあったからこそ、名作が生まれたのだと大いに納得した。(時代劇コラムニスト・ペリー荻野)  ■子連れ狼 萬屋錦之介版は、1部が1973年4月1日~9月30日、2部が74

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(2020/08/04)