【おすすめ本】パラリンピックが題材 スポーツ小説の新境地を切り開く2冊(CREA WEB)
【リンク先抜粋】
第2巻に当たる〈Side 宝良〉は、王道のスポーツ小説だ。
時間軸が2019年から2020年へと移り、東京パラリンピック出場権をほぼ手中にしながらもスランプに陥った君島宝良の様子が、試合シーンをふんだんに盛り込みながら綴られていく。
『パラ・スター〈Side 宝良〉』
阿部暁子 集英社文庫 640円
競技としての魅力を描く 王道のスポーツ小説
ツーバウンドまでOKというルールを持つ車いすテニス、男性ではなく女性のプレイヤーであるからこそ可能となった「武器」や「戦法」が、スポーツ小説の新境地を切り開く。
そこに上乗せされていくのが、百花との友情の物語だ。前巻を読んでいる時は、宝良はひたすら強くてかっこいい人物に見えた。
しかし、当の宝良が主人公となった本巻では、伝わってくるのは彼女の弱さだ。それだけじゃない。
一見すると弱っちい百花の強さ、かっこよさが、宝良の目を通してまじまじと感じられる。
パラリンピックの「パラ」はギリシア語で、「平行」そして「もう一つの」という意味を持つ。
選手もサポートする側も、どちらも「スター」なのだと熱い物語に教えられた。