『働きマン』安野モヨコさんからのメッセージ、「女性の幸せ、モデルケースを捨てて」(NIKKEI STYLE)

【リンク先抜粋】
──『ハッピー・マニア』の続編として45歳になった重田加代子(シゲカヨ)を、今この時代に描こうと思われた理由は? 『ハッピー・マニア』は随分前に終わった作品で、自分自身でも遠い記憶のかなたにあるものだったので、続編(『後(ご)ハッピーマニア』)を描く気は毛頭ありませんでした。しかしながら長年休筆していた私のリハビリ的作品『鼻下長(びかちょう)紳士回顧録』を黙って載せ続けてくれた、月刊誌『フィール・ヤング』には多大な感謝をしておりまして。商業的には決して成功したといえないこの作品でしたが、私にとっては大きな意味のある連載でした。  なので、「次はもう少し売れる作品を描きます」という恩返しの気持ちがありました。それと同時に、何年か前からの不倫ブームで、既婚者同士がマッチングアプリなどを使って会ってセックスを楽しんだりする風潮に関して、時代の変化を感じていて。不倫ってもう少し前だと、もっと気持ちの部分が重く入ったもの、という漠然としたイメージがあったと思います。たまたま好きになった人が結婚していただけで、愛情の純度としては結婚より上、というような感覚を、当事者たちが持っているように感じていました。  でも、正確な時期はよく分かりませんがある時期から夫が激務で帰ってこない、セックスレスである、などの理由に見られるように、不倫する人の多くがその人が好き、というより自分の寂しさを埋めるために浮気するようになって、その目的が「自分の精神の充足」に変化してきているなと思っていました。  そういったライトな感情で関係を持つ人がいるなかで、「重田さんはどうしてるんだろうな」と考えてみたのです。あれだけ自分の幸せを求めてさまよっていた人が結婚した後、どういう人生を送っているのか。「今なにやってんのかな~」って昔の友達のSNSを見るような感じですかね(笑)。浮気するにしても、どうしてそうなっていくのかなどを描いてみたら面白いんじゃないかと思ったのです。 彼女がさまよっていたのは、ただひとりの自分を幸せにしてくれる人を探し求めてのことだったので、「幸せでないならそうしてくれる他の何かを探さなくては!」という流れになっていくんじゃないかと思います。

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(2020/07/24)