洋楽も聴いていたけど… 浅田美代子さんの歌に胸キュンしていた子供時代 織田哲郎・あれからこれから(夕刊フジ)

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 【織田哲郎 あれからこれから Vol.77】  先週書いたように、音楽活動において専門店としてのブランド化がまったくできなかった私は、2000年代以降、自分が面白いと感じることだけを大切にして、一段とさまざまな方面に活動の幅を広げていくことになります。  2007年にはボサノバを基調とした「月ノ涙」という曲を自分の歌唱でリリースしました。これは『愛の迷宮』という、いわゆる昼ドラの主題歌で「ドロドロした曲をください」という、とても珍しい注文でした。小松亮太さんのバンドネオンをフィーチャーして、なかなかに大人なしゃれたドロドロ感に仕上がったと思います。  08年にはR&Bを得意とする「Skoop On Somebody」とのコラボで、三菱自動車「デリカD:5」のテレビCM曲「ETERNAL LANDSCAPE」をリリース。09年に入るとAKB48に「君のことが好きだから」を提供。さらに河村隆一さんのシングル「ヒロイン」をプロデュースさせてもらいました。  これは今まで私が作編曲をした中でもかなりの自信作です。河村さんの世界観、歌唱力と相まってとてもスケールの大きい、品の良いバラードになりました。機会があったらぜひ聴いてみてください。  「Skoop On Somebody」のボーカル、TAKEさんも河村さんも、それぞれはっきりした個性がある、とても素晴らしいボーカリストなので、一緒に制作することはとても楽しかったです。  というと、歌のうまくない人との制作はつまらないのか、と思われるかもしれませんが、そういうわけでもないのです。もちろん歌唱力で曲の世界をぐっと広げてくれる人との仕事はとても楽しいですが、私は子供の頃、浅田美代子さんの「赤い風船」も大好きでした。かたやプログレやグラムロックといった洋楽を聴きつつ、浅田さんの歌に胸がキュンとしたものです。  音楽は、本当にいろいろな役割を果たせるものだと思うのです。青春時代に、アイドルに対する仮想恋愛で脳内がパンパンに膨れ上がるなんて時期も、意外に人間の健全な成長のために必要だったりするものではないでしょうか。  その妄想を膨らませるためのツールとしての音楽のあり方を、私は否定しません。麻丘めぐみさんの「私の彼は左きき」という歌を聴いて、左ききの私は「俺のために歌ってくれてる!」と、一瞬真剣に思ったりもして

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(2020/07/21)