コロナ終息祈願の仏像(産経新聞)

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 新型コロナウイルス感染の終息祈願を込めた木彫りの仏像を、作り続けている男性がいる。江戸時代初期の修験僧、円空(1632~95年)が全国各地に残した仏像「円空仏」の研究家で、堺市堺区に住む阪野薫さん(73)。仲間とともに4月から彫り始め、これまでに4千体以上が完成した。感染症で亡くなった人たちの冥福とともに、感染拡大を防ぐ社会の規範が保たれることを祈って、6千体以上彫り上げることを目指している。  阪野さんらが彫るのは、高さ約3センチの地蔵菩薩像。荒々しい削り跡と柔和な表情が同居するのが特徴の円空仏を模して、制作を続けている。  仏像を彫るようになったのは10年ほど前、重度の心筋梗塞で余命数年と宣告されたのがきっかけ。療養先の奈良県で円空作の観音像を見る機会があり、もともと円空に興味を持っていたこともあって、「為政者のためではなく庶民のために祈り、仏像を彫った人生に感銘を受けた」。そこから「どうせ死ぬなら何かしたれ」との気持ちが生まれ、自分で「円空仏」を彫ることを思い立った。  「円空彫り」と呼ばれる荒々しい「のみ」の削り跡を残す大胆な彫法は、独学で学んだ。「きれいに作ろうという取り繕った美しさではなく、心のおもむくままに彫った」魅力があると阪野さんは語る。  天台宗の僧侶である円空は、美濃(現在の岐阜県)で生まれ、幼くして母親と死別して出家。生涯をかけて全国を行脚し、庶民が拝むための仏像などを10万体以上彫ったとされる。そのうち約5400体は、現存が確認されている。  阪野さん自身も、東日本大震災の後には犠牲者を悼む仏像約3千体を東北の寺院に届けるなど、円空のように「人のため」の仏像を彫ってきた。今回のコロナ終息祈願は、「情けは人のためならずというか、自粛でボーッとしていてもおもしろくない」との気持ちから。目標の6千体超は8月ごろまでに達成したいと彫刻刀を握る日々だ。

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(2020/07/21)