香港に生きる 龍馬が香港にいたらどうするだろうか 袁彌昌氏(産経新聞)

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 坂本龍馬なら、今の香港をどう見るだろうか-。  そんな突拍子もないことを考える香港人がいた。香港大社会科学学院の袁彌昌(えん・びしょう)講師(42)である。戦略学を専門とする。  「香港は、黄色(民主派のシンボルカラー)と青色(親中国・政府派のシンボルカラー)に社会が分断されている状況。出口をさぐるのに、非常に参考になるのが日本の幕末だ」  現在の香港を幕末にたとえると、中国・香港政府(幕府)と対立する民主派が長州藩で、貿易を通じて財政が豊かだった薩摩藩が香港財界に当たるという。  「民主派と、政府寄りの財界はこれまで反目し合ってきた。しかし昨年、(中国本土への容疑者引き渡しを可能にする)逃亡犯条例改正案の反対運動に一部の財界が呼応し、双方の距離が縮まった」  もし、今の香港に龍馬がいたら、民主派と財界の橋渡しをするのではないか。つまり「薩長同盟」を実現させて、民主化運動の経済基盤を整え、中国・香港政府から政治的譲歩を引き出そうとするだろう。その実動部隊として、龍馬が作った「海援隊」のような組織が香港にも必要だ。袁氏はそう考え、行動に移した。  財界系の政党「自由党」の元主席、田北俊氏(73)らと一緒に新党「希望連盟」を結成。しかし活動を本格化させた矢先に、中国による香港国家安全維持法(国安法)の導入が決まった。財界は国安法の支持表明を余儀なくされた。  「薩長同盟」の機運はしぼんだが、袁氏は、9月の立法会(議会)選に出馬する計画を変えなかった。  「立法会選で黄(民主派)が勝っても、青(親中派)が勝っても香港は滅亡に向かう」という危機感が背景にある。  民主派が勝てば政治は大混乱に陥るだろうし、親中派が勝てばそれだけ中国の介入が強まり、「一国二制度」の形骸化が加速する。  「本来、自由な香港にはさまざまな価値観があるはず。でも今、香港という食堂にはA定食かB定食しかない。私たちはC定食を市民に提供したい」  袁氏が目指すのは、親中派や財界と交渉できる実務的な穏健民主派といえる。  そのバランス感覚は家庭で培われたものかもしれない。実業家の父親と芸能人の妹は民主派で、妻は親中派の立法会議員だ。袁氏自身、親中派政党に参加していたが、今は距離を置く。  袁氏が掲げる目標の一つは、龍馬と同じだという。「大政奉還」である。  「香港の場合は『政

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(2020/07/19)