阪神近本は不調な時ほど狙い球を絞って/大石大二郎(日刊スポーツ)

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<阪神8-3中日>◇18日◇甲子園 阪神西勇輝投手(29)が甲子園でのプロ初完投勝利を挙げた。打線の援護を受けながら、125球の力投で疲労蓄積の救援陣に休みを与えた。   ◇    ◇    ◇ 西勇のすごさを感じる投球内容だった。調子自体は決してよくなかった。それでも完投で勝ち切った。 本来は、スライダーとシュート、チェンジアップを両サイドに投げ分けて勝負する投手だ。だがこの日は立ち上がりからスライダーが全く決まらなかった。いわばシュートとチェンジアップのワンサイド。厳しい投球になると感じた。だがシュートもチェンジアップも精度がいいから、片方の翼がダメでも抑えられる。 たとえば初回。先頭大島を歩かせたが、京田をシュートで中飛にきり、福田とビシエドは絶妙なコースのチェンジアップで空を切らせた。2回も先頭阿部にカーブを安打されたが、シュートで井領を二飛、石川昂を三ゴロ併殺に仕留めた。西の打ち取り方は、打撃結果にもよく現れている。 状態のよくない中日打線に助けられた部分もある。5回までに4度無死の走者を出したが工夫のない攻撃で無得点。これだけワンサイドが顕著なら、他のチームなら5回までに点を取っていたかも知れない。だが相手打者の状態も見ながら、要所でギアを上げて抑え、味方の援護につなげた。西勇の名前、実績で抑えた部分もあったと思う。6回に3点は失ったけど、ほぼ大勢が決まったあとで、見事な完投勝ちだった。 攻撃陣は、真っすぐの速い先発勝野をどう打つかがポイントだった。3回、その真っすぐを狙って仕留めた木浪の中前打や糸原の右中間適時二塁打は見事で、非常にいい形で2点を先取できた。対して同じ回の近本は、1ボールなのに低めの難しいフォークを打って二ゴロ。結果的に先制点になったが、何でもかんでも打ちにいっているように映った。好調な打者は狙い球を絞れ、その反対は絞れていないことがはっきりした場面。近本には不調な時ほど、狙い球を絞ってほしい。(日刊スポーツ評論家)

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(2020/07/18)