ジャガー・デザインの未来とは…… “懐古主義”より“未来主義”はアリ?(GQ JAPAN)

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ジャガー・デザインとは、いったいどんなものだろうか? 2019年9月にオープンしたジャガーの新しいデザインセンターを訪問して、私はそんなことに思いを馳せた。 ジャガーは「Eタイプ」や歴代サルーンなど、自動車史に残る数々の名作を生み出してきた。1948年にデビューしたジャガー初のモデル「XK120」まで遡らなくても、美しいスタイリングと卓越したパフォーマンスのバランスにジャガーの本質があることは明らかだ。 ことほどさようにスタイリングが重視されるジャガーであるにもかかわらず、その長い歴史においてデザイン部門が一カ所にまとめられたことは1度もなかったという。そこには様々な事情があったと思うが、新設されたデザインセンターではエクステリアやインテリアなどの各デザイン部門をひとつ屋根の下に集約し、その機能性と作業の効率が大幅に向上したという。 今回、そのデザインセンター内部に立ち入ることが特別に許されたが、広々とした室内は明るい光で満たされており、清潔で開放的な雰囲気はデザイナーの創造性を引き出すのに理想的な環境であるように思えた。 そのなかでもとくに印象に残ったのが、クレイモデルの作業エリアである。 中央のオフィススペースを挟んだ両側に、全長20mもある作業エリアが5つずつ、合計で10カ所も並んでいる様は壮麗とでも表現したくなるほど。各作業エリアには最新鋭のコンピューター制御によるクレイモデル・マシンが備えられているほか、3次元計測器も完備されていてクレイで仕上げたデザインをただちにコンピューターに取り込むことが可能。ここで得られたデータをもとにさらにデザインの検討をおこなったり、生産に必要な治具や型の設計・開発をおこなったりするのだ。 クレイモデルを使ったデザイン作業は、それまでデザイナーの頭の中にしかなかった造形を現実の立体的なモデルとして構築し、その良し悪しを客観的に判断できるというメリットがある。しかも、「スクレーパー」と呼ぶ、」一種のヘラで粘土(クレイ)をそぎ落とせば微妙な曲面を何度でも素早く修正できる。コンピューター・シミュレーションを活用したデジタル・デザインがこれだけ盛んになった現在でも、手仕事によるクレイモデルを用いたデザイン作業がまったく廃れていない背景には、このような理由があるのだ。

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(2020/07/16)